「・・・なあメドーサ、これどうすればいいと思う?」

「んな事私に聞くな・・・」

 メドーサがそう言うと佑輔は手の中にあるフィルムを転がした。





 ゴーストスイーパー美神 GOS

作:ガイギス

第17話






「・・・あれ?」

 横島はごそごそと何かを襖の奥で探していた。

「どうしたの、ヨコシマ?」

「・・・いや、ちょっとな」

 横島はルシオラに声をかけられたときに一回ビクッとしたが何とか答えた。

「ふ〜ん・・・」

 ルシオラはそういうが目は絶対何かあると疑う者の目だった。

(あれ? おかしいぞ・・・なんで文殊で転送したあの水着女子高生のフィルムが足りないんだ!?
 まだ後1個残ってるはずなのに・・・なんでじゃ〜〜〜!!」

「・・・ヨ〜コ〜シ〜マ〜!!」

「は、しまった。つい思っていたことが口・・・うわ!!」

「あなたと言う人はッ!!」

 ルシオラとりあえず横島を捕まえると横島の左右のコメカミに親指を当て指に力を入れた。

「ギャ〜〜〜〜〜ッ!! たっタンマ、マジで痛いッ!!」

「今回は簡単には許さないんだからッ!!」

「の〜〜〜〜〜ッ!!」

 横島はその後20分叫び声を挙げ続けた。




「あれ? 『東京デジャヴーランド』の社長さん?」

「美神さんはまだ来てませんよ?」

「いえ、実はその美神さんなのですが・・・」

 社長は美神との契約の事を話し、とにかく来てくれとVIPチケットを事務所の人数分渡した。

「詳細は現地でお願いできますか?」

「解りました」

 おキヌが対応する横でシロがはしゃぎまわり、タマモがチケットと一緒に渡されたデジャヴーランドのマップを食い入るように見ていた。




「我が『デジャヴーランド』の使命は、お客様に完璧な夢を提供することです!!
 夏休みは最も客が集まる季節であり、我々としても特に力を入れています!
 そこでこの夏からの新アトラクション、『美神令子監修GS体験ツアー』!!
 新感覚のハイテクお化け屋敷・・・!その名も『マジカル・ミステリー・ツアー』!!
 ばく大な費用をかけて建設され、いよいよ明日オープンとなります!!
 これは人気のアトラクションになりますよっ!!」

「それはいーけど、その監修の美神さんがなんでどこにもいないんです!?」

 ここは社長の言った施設の裏側、そこを社長、横島、ルシオラの3人が歩いていた。

「以前お話した・・・」

「以前?」

 社長が言い切るよりも早くルシオラが横島を見た。

「そういえば其方の方は前回いませんでしたね」

 社長はそう言うとこのデジャヴーランドの色々な設備を話した。

「・・・で、建物に結界を設置したあと、美神さんがほかのスタッフを立ち入り禁止にして一人で
 仕上えげたんですが・・・それっきり連絡がないんです。」

「ちょ・・・ちょっと待って!!
 それじゃアトラクションに霊的処置が施されてるんですか!?」

「ええ! ですから我々、うかつに中には入れんのですよ。
 中に入って様子を見ていただきたい。
 美神さんのことだ、無事でいるとは思いますが・・・」

 3人はそう言いあいながらテクテクと歩いていた。

「―――何やってんだあの女は・・・!
 つまんねーことで助手に迷惑かけないでほしいよな・・・! 」

「けど美神さんが動けない所か連絡が取れないんだから警戒するに越した事はないわ」

 ルシオラはそう言うとさらに、

『もしかしたら低級妖怪とか呼び出してるかも』

 と念話を送った。

「・・・美神さんだからな〜、絶対ないなんていえない」

「シロちゃん達はどうしよう?」

「あ〜〜・・・まず今のシロやタマモは無理に来させても使いもんにはならんだろうし、
 おキヌちゃんにはたまにはゆっくり羽を伸ばしてもらいたいし・・・」

「そーね、資料の整理なんてほとんどおキヌちゃんがしてるんだもんね・・・
 私でも絶対あそこまでは出来ないわ」

 ルシオラはそう言うと普段のおキヌの雑用っぷりを見てうんうんと頷いた。

「けどヨコシマも散らかし癖はあるんだけどね♪」

「すまん、気を付けてるつもりなんだが・・・」

「クス、いいの! そのうちおキヌちゃんに習って私もあの領域まで行くんだから!」

「・・・あの〜、中に入りますがいいでしょうか?」

 社長がそう言うと目の前に見た事がありそうなドアが見えた。

「あれ?いつのまに・・・」

「いえ、さっきから着いていたんですよ?
 けど其方でなにやら親密な話をしているから声がかけ辛くて・・・」

 社長がそう言うと二人は照れたように顔を赤くした。

「ごほん、それでは入りましょう。
 通常は10人ほどでグループになって入ります。
 ツアー・プログラム作動してくれ」

『了解』

 社長が無線機でそう伝えると扉が電子音とエアロックの解除音、そしてぎ〜〜〜と言う効果音が鳴った。

「あれ?ここ・・・」

「ウチの事務所じゃねーか・・・!!」

「あっ、お手伝いに来てくれたGS助手の皆さんですね!?
 こんにちわ!! 美神所霊事務所へようこそ!」

「え? 「お、おキヌちゃん!?」」

「よくご存知ですね。
 私、美神さんの助手で、幽霊のおキヌっていいます。
 よろしくね!」

「ねえヨコシマ、何でおキヌちゃん幽霊なの?」

「ああ実は昔な・・・」

 横島がおキヌの説明をしようとすると電子音が鳴り、本棚がガーッと動き、その奥からテレビが出てきた。

「美神さんから通信です!」

「へ〜」

「ウチの事務所にこんなのないぞっ!?」

『おキヌちゃん!! 横島クンはいる!?』

 その大きな画面に美神が映し出された。

「み、美神さん!? 俺ならここに―――何かあったんスか!?」

「横島さんはもうすぐ来ます。
 こちらは手伝いの皆さんです」

「え?」

 メカおキヌがそう言うとヨコシマはルシオラを見ながら自分を指差した。

『そう! それじゃみんなお願い! 今すぐ私を助けて!!
 強力な悪霊に捕まっちゃったの! 早く逃げないと殺されて霊力を食べられてしまうわ・・・!!
 お願い―――!!』

 美神がそれだけ言うと画面はブッと消えた。

「み、美神さん―――!?大変だ・・・!!急いで助けに―――」

「あ、まだそこはまだ・・・!」

 社長が言い終わる前にヨコシマは扉を開け外に飛び出そうとして、

「ぶッ!!」

 壁にぶつかった。

「この部屋は客が気づかないようゆっくり動いています。
 もう少ししないと次の部屋につながりません。
 ・・・客がドアを開けないようロックしとく必要があるな」

「・・・それじゃあ今のも全部アトラクションの一環?」

 ルシオラが横島を助け起こしながら社長に聞いた。
 と、ウィーンと言う電子音と共に扉が開き何かが出てきた。

「う・・・うわッ!! お、俺っ!?」

「・・・」

「こんにちわ、みなさん―――GS見習いの横島です!」

「あれ?ヨコシマって見習いだっけ?」

「いや、そりゃ昔だ・・・おキヌちゃんも幽霊だし昔の設定だな」

「忠実に再現されてます!」

 社長がそう言うと横島は一回宙を向いて考えると、

「・・・自給255円で大変だな、お前も―――」

「は? なんの話です?」

 横島はメカ横島にそう話したがどうやら会話にはずれがあるようだ。

「僕の時給は5千円以上です! 美神さんは美しく優しく強くて素敵な女性です!」

「どこが忠実だ―――ッ!!」

 横島はメカ横島を親指で指しながら社長を見た。

「ヨコシマ・・・昔からそんな苦労を・・・」

「あの女は、あの女はな〜・・・」

 ルシオラは横島を抱きしめると横島は胸の中で泣いた。

「―――というわけなんですよ!」

「大変だ、すぐ助けに行こう!」

「ささ、いよいよ出発ですよっ!!」

 社長はそうバカップルにつげた。

「な・・・なんじゃこりゃ!? 事務所の外はこんなんじゃないぞ!?」

 3人が部屋から出るとそこは洋風の裏路地だった。

「ここは屋内ですし、セットの大きさには限りがあります。
 色々と考慮した結果外国風の路地に変更したんです」

 社長がそう言うと3人に霊気が当てられた。

「え? ・・・こんな所に霊気・・・?」

「わ、私なんか急に悪寒とトリハダが―――!?」

「みんな気をつけて!! 悪霊が私達をジャマしようとしてます!!」

「くそっ!! 美神さんを捕まえている奴の手下だな!?」

 メカコンビがそう言うとあちこちから悪霊が現れた。

「シャアアアーッ!!」

「殺シテ・・・ヤル・・・!!」

「GSドモ・・・!!」

「やばい・・・!!」

 横島はそう言うと右手に霊力を集めたが、

「あ、あれっ!? 霊力が・・・?」

 上手くいかなかった。

「これでもくらえっ!!」

 メカ横島はが破魔札を悪霊につけると悪霊は、

「ギャ―――ッ!!」

 といい消滅した。

「ロ、ロボットがやっつけた・・・? じゃ、これもアトラクション?」

「けどこの霊気をただのロボットが出せるなんて・・・あれ? ヨコシマ!」

「え? どうしたんだ?」

「床一面に結界が張ってあるわ!! 確かこれは・・・人間の霊力を吸収するものよ!」

「それじゃひょっとしてあの悪霊は・・・」

 横島はそう言うと霊視ゴーグルを被った。

「やっぱり・・・!! 見た目は強力な悪霊だけど、つくりもののロボットだ!」

「中に低級霊を仕込んだのね・・・そしてここを視に来た人たちの霊力を吸い取ってるの・・・
 けど私から見れば別になんでもないわね」

「けど考えたな美神さん・・・こっちの霊力が低ければ、例え低級霊でも強力な悪霊に感じるって訳だ」

「た、たしかに素人の私でさえものすごい悪寒を感じました!!
 客の霊に対する感受性を刺激する―――まさに第六感を使う新しい体感アトラクション!!
 すごいぞ!! 画期的だ!!」

「さあ、先へ急ごう!」

 メカがそう言うと社長は嬉しそうにその後に続いた。

「ヨコシマ、ちょっと・・・」

「え?」

 ルシオラはそう言うと横島に耳打ちした。

「さ、二人とも怖がって抱き合わなくて大丈夫さ! 俺が付いてる!!」

「え?あ・・・う」

 ルシオラはまず自分がどのような状態かを見て赤くなった。

「さあ、ここから地下に入りましょう!」

 メカおキヌがそう言うといっこうは階段を下りた。

「あからさまに暗いな」

「いかにも何かあるって感じね・・・」

 二人は少しびくつきながら階段を下りていくと壁からギィ・・・と音がした。
 横島がビクッとするとその音のしたほうから黒い髪を生やした骸骨が二人に襲い掛かった。

「どわ――――――ッ!!」

「キャ――――――ッ!!」

 二人はそう叫ぶと互いを抱きしめあったが、結局その骸骨はそれ以上動かなかった。

「あら? この人形、どこかで・・・」

「エ、エミさんか・・・!?」

「あ、そうそう・・・確か犬猿の仲だったんだっけ?」

「美神さんの監修だからか・・・」

 二人はお互いを見つめ合いため息を付くとメカの後を追った。
 その後ろで行き成り社長が拉致されたが、二人は気づかなかった。




「あれ・・・社長さんは!?」

「い・・・いない!?」

 二人が墓場へと着くとそこでようやく社長が居ない事に気付いた。

「社長!? 社長―――っ!!」

「いったいこれは・・・」

「もしかしてこれもアトラクションの一部!?」

 二人が話し合っていると

「みんな気をつけろ!! まわりじゅうから霊の気配がするぞっ!!」

 メカ横島がそう言うとそこらじゅうから半骸骨のゾンビが横島達に襲い掛かった。

「オ・・・オオッ!!」

「ウオオオオ――――ン!!」

「うわ・・・」

「ヨコシマ! 大丈夫?」

「ああ・・・なんとかな」

 横島はゾンビにはった押されたがルシオラが飛んで横島を抱き起こした。

「けどどうしよう、これ・・・」

 ルシオラがそう言うと目の前で繰り広げられている合戦を見た。
 メカ横島&おキヌがプログラムにしたがって近づくものを除霊しているが、
 それよりも多くの悪霊が這い出している。

「しかもなんかルシオラ狙いじゃないか?」

「そうなのよね・・・」

 二人はう〜んと考え込んだ。
 数分後横島がある考えを出して念話でルシオラに送りルシオラは頷いた。




「きゃ〜〜〜」

「ルシオラ〜〜」

 やはり数では叶うことなく、ルシオラはゾンビに捕まり墓場へと連れ去られてしまった。

「これで―――残りはおまえだけだ・・・!!」

「!!」

 墓場の置くからボスらしきロボットが現れた。

「ああっ・・・!! あれが最後の敵、『悪魔アラストル』ですっ・・・!!」

「みんなで力を合わせて、やっつけよう!!」

「さあ、お客さんも手をかざして念をこめてくださいっ!!」

「な、なんだなんだ!?」

 横島は言われるがまま手をかざした。
 すると、

「お前は必要ない・・・!」

 アラストルはそう言うとスパナを投げメカおキヌの首を胴体と分離させた。

「う、うわあッ!? どーしたっ!?」

「俺が用があるのはおまえたちだ・・・!!」

「へ・・・!?」

 アラストルは相変わらず皆に手を掲げるよう言っているメカ横島を押しのけると横島の首を掴んだ。

「!! こ、こいつ・・・―――!! アトラクションじゃない・・・!?」

「クク・・・! そこにいるおまえのロボットはバッテリーで動く!
 そいつに乗り移って俺はここから出るんだ・・・!! おまえになりすましてな―――!?」

「そうはいくか、こんにゃろ―――ッ!!」

 横島はそう言うと右手でアラストルの頭部をぶち殴った。
 その結果アラストルの頭部ははじけ飛んだが、

「・・・!!」

「ケケケケ・・・!! 頭部には重要なパーツは入ってないぜ!?」

 アラストルはそう言うと横島を墓石に向けて投げた。

「ぐッ!!」

 横島はそれを右腕で防御、「栄光の手」を発動させようとしたがうまくいかなかった。

「クソ、ここでもダメか!!」

「ケケケ・・・人間の霊能力を封じるこの結果以内では、
 俺のように機械の助けを借りないとろくに何もできないんだよ・・・!!」

「・・・な〜んてな」

 横島はそう言うと懐から黒い文殊を取り出し口の中に放った。

「いまさらそんなもん一つ・・・何!?」

「・・・やっぱりな! 多少干渉は受けるが、魔力は霊力ほど出力は落ちない!!」

「ば、馬鹿な・・・なんで、何でここでそんな・・・」

 アラストルはそう言うと横島の右手に発生している霊波刀を指差した。
 その霊波刀は、二つに割れていた。

「ルシオラが開発した霊力を魔力に『変』『換』する兵鬼だ!
 とりあえず・・・極楽へ行ってこい!!」

 横島はそう言うと右手を間へに突き出した。
 霊波刀の発生場所は横島のバンダナの裏にいたはずのクワガタで、そのクワガタの角から出ていた。
 霊波刀葉アラストルの左右まで伸び、一気に狭まり、そして交差した。

「ルシオラ、終わったぞ! 大丈夫か!?」

『え、もう? ・・・この、いい加減に!!』

 横島が今だ右腕に乗っているクワガタにそう言うと、横島の頭の中でそう返事をされた。
 さらにルシオラが捕まった所から霊波砲が天井へと伸び、そこからルシオラが這い出した。

「大丈夫か!?」

「な、なんとか・・・」

 ルシオラはそういうがかなり手間取ったらしく、ルシオラが出てきた所はコードがむき出しになり、あちこち火花が出ていた。




「いや―――今回は本当、助かったわ。
 反省してる!ごめんね、みんな・・・!!」

「やはり、他人を楽しませるのに金を惜しんではいかんのです!!」

「まったくだわ・・・!!」

 幽霊屋敷はその日の夜、デジャヴーランドの閉店前に何とか決着が付いた。
 とりあえず明日中に開店は不可能になったが明後日開店することになった。
 今もなお美神が立てた幽霊屋敷では工事の音が鳴り響いている。

「反省するポイントはそこじゃないでしょう!? 霊をオモチャにしちゃいけないんですっ!!」

 ルシオラから事情を知ったおキヌは終始そう注意していた。
 その頃他のメンバーは・・・

「あれ?先生・・・?」

「どうした、シロ?」

「いや・・・なんでも無いでござる・・・」

 シロは横島の「匂い」に何か違和感を抱え、

「タマモちゃん、その風船はどうしたの?」

「ちょっとね〜〜♪」

 タマモはルシオラの質問に笑顔ではぐらかした。
 ・・・その翌日から1ヶ月、横島とルシオラが事務所、そして学校を休んだ事を追記しておく。




(あとがき)
作者>な、何とか終わった・・・
???>そして新たな地獄が始まる
作者>え?え?
???>へ?そこまで地獄じゃないですよ?
???>けど〜、館長にとっては・・・
???>え?、それは!・・・その・・・ちゃんとしない館長が悪いんであって・・・その・・・
作者>・・・では終わります!!
   あ、それと横島君が持っていたクワガタの名前は『刃信丸』といい今までにもちょくちょく
   出てきました〜


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