「お久しぶり・です・横島さん・ミス・ルシオラ。」

「ええ…私が寿命を延ばした後ちょっとしてから…だったけ?」

「ノー・私も・大戦・出ました、お役に・たてません・でしたが」

「ま、それは気にしないで大丈夫だろ…こうしてルシオラも無事復活したからな」

「サンキュー・横島・さん」

 横島がぐいっとルシオラを抱き寄せてそう言うとルシオラは少し顔を赤くし、マリアはそう答えてお辞儀した。
 なおドクターカオスは当然の事ながら無視されている。




 ゴーストスイーパー美神 GOS

作:ガイギス

第26話





「ンフフフ♪」

 ルシオラはイチゴに練乳を掛けて美味しそうに食べていた。
 そばにはイチゴを用意したマリア、そしてこちらはイチゴに砂糖を掛けて食べている横島とドクターカオスがいる。
 ここは佑輔の研究拠点、横島が一番最初に佑輔に連れてこられた場所である。
 あちこちに機械があり、少し先に人が入れるチューブが4本ある。
 それを目の前にテーブルでイチゴを美味しそうに頬張っている横島達である…シュールだと思うのは私だけだろうか?

「ルシオラ、ちょっといいか?」

「ん? 何?」

 横島はルシオラが食べているイチゴを見て、

「何でルシオラのだけ練乳が掛かってんだ?」

 と聞いた。
 そばに練乳がある訳ではなく、マリアが3人分のイチゴを持って来た時はどれも練乳は掛かっていなかった。

「んふふ♪ こんな事も有ろうかと…」

 ルシオラはそう言いながら懐からチューブを取り出した。
 そのチューブのイラストは白でカタカナのルを丸で囲っただけの物だった。

「これを持って来てたの」

「いいな〜、俺にも貸してくれ!」

「ワシもいいかのう?」

 ルシオラが横島に返事をする前に横島はルシオラがどこぞのご隠居の印籠の様に持っていた「ソレ」を取って自分のイチゴに掛けた。
 さらにカオスがそう言うのをルシオラに断りもせず勝手に了承して渡した。

「あ、ソレは…」

 なにやら説明しようとルシオラがカオスから返してもらい説明しようとしたが、

「いっただっきま〜す」

「わしも」

 二人はルシオラが内容を説明する前に「ソレ」が掛かったイチゴを口に含み…

「「ぬおおおおおぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」」

 その口の中に広がる「ナニカ」に悶絶した。

「…二人とも大丈夫?」

「横島さん・ドクター・カオス!?」

 二人は口の中に広がるなんとも言えない異様な「甘さ」にあちこち暴れだした。
 ルシオラとマリアはそれぞれ横島とカオスを取り押さえたがその時何かのレバーとボタン、さらにキーボードを触ったのが後で確認された。
 兎に角二人を取り押さえた後、騒ぎに気付いたヴォルツによって水が運ばれ、取り合えず二人は落ち着いた。

「ル、ルシオラ…これは?」

「ほら、私って極端に甘いものびいきじゃない? だから口の中に入れたらその掛かっている物の味を私にあった甘さに調整してくれるのがこれ。これを普通の人が食べたらこの液体が口の中に入っている限り強烈な甘さが口の中に残るの。けどそれ以外は害が無いから安心してね?」

 ルシオラがそう言うと横島はふうとため息を付いた。
 その騒動から数分後キーボードの確認とレバーを元の位置に戻し、ルシオラ、佑輔の調整が始まった。

「あれ? 長田さんもですか?」

「遥か昔の前世は魔王だったとしても俺は純粋といって良いほどに人間だからな………魔族の力は使えてもその力に体が付いていけなくて…ね。零が隣に居て常時ヒーリングしてたってちょっときついんだよ」

 そういう佑輔の隣では、零が心配そうに佑輔の方を見ていた。

「それに味覚って言う限定的な物の調整には多くのサンプルが有った方が良いんでな」

「そうなんすか…すみません」

「別に謝るこたね〜よ、ついでだついで」

「クスクス」

 佑輔は照れた様にそっぽを向いてそういうがその後ろで零が可笑しそうに笑った。
 4人は後から来たメドーサの指示で水着(女性陣はビキニ)に着替えるとそれぞれチューブの中へ入った。

「取り合えず荷物は意識化でも持てる様に別の装置で送りますので…それでは皆さん良い夢を」

「システム・起動・します」

 マリアがそう言うとコンピュータから延びるケーブルをアンテナに繋ぎ制御を開始した。

「調整開始・予想終………」

 マリアの声が次第に遠くなり横島達は意識が遠のいた。




「…あれ?」

 横島は公園のベンチで寄り掛かっている自分に気がついた。
 辺りを慌てて見渡すと、向かいのベンチに佑輔と零、横島の隣には横島に寄りかかる様にしてルシオラが眠っていた。

「ルシオラ、ルシオラ!」

 横島は取り合えず寄りかかっているルシオラを軽く揺すった。
 ルシオラはしばらくそのままで、先に佑輔と零が起き出しルシオラの周りに集まった。

「ルシオラ!? 長田さん一体どうしたんすか!? 息はしてるけどこっちから呼んでも反応ないし!」

「どうやら味覚の調整の為に一人だけ意識が覚醒するのが遅れているの…かな?」

「大丈夫、そっとしておけばそのうち目が覚めます………それよりも」

 零はそう言いながら周りを見た。
 この公園は横島には見慣れた様な、けど違和感がある光景だった。

「…ここは?」

「あれ? 俺達飛んできたんじゃ…あのワンダフルとかで」

「ワンダーランドな、けどそういう設定ではなかったはず…だよな?」

「はい、味覚調整の為、長めに10時間ほど取りましたがそれを私達はある一室で過ごす筈でした」

「ある一室?」

「ああ、古今東西あらゆる本とゲームが置いてあるやつな。もちろん最新のテレビゲームもあれば発売されたすべての攻略本もある」

「あ、俺ちょうど気になるゲームがあったんすよ! …ん? けどだったら何で俺達はここに居るんです?」

 横島がそう訊くと佑輔と零は互いに腕を組んで考え込んだ。
 横島もそれに習いルシオラが落ちない様にしつつ考えるが横島の脳ではまったく答えは出せなかった。

「取り合えずルシオラが起きるまでは君は彼女に着いて居てくれないか?」

「それはいいっすけど…」

「その間に俺と零で辺りを散策してくる」

「解りました」

 横島がそう言うと佑輔と零は公園を後にした。

「これから俺達、どうなるんだろうな? ってなんとなるんだよな〜、いつも」

 横島がそう気楽に言って笑うとそれに反応してか、ゆっくりとルシオラのまぶたが開いた。

「ん…タダオ?」

「お、ルシオラ気がついたか?」

 なお今の体勢はルシオラがベンチに横になり横島に膝枕をしてもらっている。

「タダオ? え?」

「大丈夫か? ルシオラ」

 ルシオラはすぐにがばっと起き上がるが、横島はそんなルシオラを心配そうな目で見ていた。

「タダオ、ここは?」

「俺にも解んない、長田さんが言うには本来あるべき場所とは違うらしいんだけど…」

 横島がそう言うとルシオラは取り合えず周りを見渡した。
 周りには建造中のビルや煙突があちこちに立っていた。

「タダオ」

「ん?」

「あれって…銭湯…よね?」

「そうだな…けどあんなに沢山あるわきゃないんだが…」

「お〜い!!」

 ルシオラが辺りの光景に不思議がっていると佑輔が走ってきた。

「これを見ろ」

 佑輔はそう言うとどこから買って来たのか新聞を持ってきた。

「え? ………1989年11月3日!?」

「どうやら目標の卵と別の物に俺達は飛ばされたらしい」

「だったらすぐ戻りましょうよ!」

「そういえば零さんは?」

 横島慌てる横で取り合えず今は居ない零の事をルシオラは聞いた。

「今戻る方法、または時期がどうなっているのかと持って来ていたコンピュータで必死に計算中だ。ホントは飲み物を買いに行ったんだが……」

 佑輔がそういって公園の入り口のほうを見たが、零はしばらく現れたなかった。




「で? 零、どう言う事になったんだ?」

「はい、厄介な事になりました」

 横島達は零と合流し、ひとまずホテルへと泊まった。
 なおお金は幸いシステムは通常通り動いたらしく、手持ちのお金は全部この年より前の物だった。

「まず現状ですが、ここは私達の元の時間の感覚から言えば11年前の卵の中です。ここでもGSが存在している様なので私達の元の世界にかなり近い物が設定されているようです。それでいつ、どうやって帰れるのかと言うと…ざっとこの世界で10年後…という事になりそうです」

「「じゅ、10年!?」」

「…ほかに脱出方法は?」

「ルシオラさんが何か持っていれば別ですが…私やあなたの物では不可能です」

 零がそう言うと横島、佑輔、零がルシオラを見た。

「え? 私?」

「はい…私でもあなたの開発した全てを把握してはいませんので…」

「ちょ、ちょっと待ってね?」

 ルシオラはそう言うとどこから出したのか分厚いファイルを取り出しそのページをめくった。

「え〜と、結界突破の方がいいの?」

「いえ、本来はある特定のパスにより行き来が可能なんですがあくまで卵は入り口に過ぎません。おそらく不発に終わると思いますが、最悪の場合その入り口が消し飛び元の世界に戻れなくなります」

「えっと、じゃあ平行世界へ移動?」

「それはさらに危険な賭けです。確かに『私達』がとんだ世界に戻れればいいのですが平行世界は人の数×その時の別行動足す事の時間×出来事なので一体幾つになるのか計り知れません」

 ルシオラと零がさらに宇宙がどうだの時間移動がこうなのと言い合っているが横島にはさっぱり解らなかった。

「えっと、これからどうなるんすか?」

「ま、俺達は10年やそこらで年を取る様な体じゃもう無いからな…あ、居や俺はまだ解らんか」

「ああ、そういえば長田さんって結局人間なんすか? それとも魔族?」

「ん〜、元は完璧な人間なんだが…今は人の心を持った悪魔? ってところだと思う…調整が成功したら」

「へ〜」

「ま、なんにせよ世の中で10年過ごすんなら先立つ物が必要だろ? それをどう稼ぐかだけど…」

「やっぱりGSですか?」

「まあそれは考えてはいるんだが…俺達が取ってもいいのかね?」

 佑輔が言うように一人は現役は引退したもののまだまだバリバリで力がある天使、
 数年後に現れる可能性がある侵略魔族の長女、それと半人間に魔王の記憶を持ち力をつけている者…
 このメンバーで純粋な人間は一人も居ない。

「え? けどピートの奴はちゃんと受けられましたよ?」

「それは唐巣神父の保護というか後見人的な立場だったからじゃないのか? 彼は見た目に反してかなりの実力者だし教会も一目置いてるし…」

「じゃあそういう後ろ盾のない俺達って…」

「…ま、その辺は考えないでもないんだがな………っと、話は終わったようだな」

 佑輔がそう言う通り、ルシオラと零は話をやめこっちの話に耳を傾けていた。

「はい…結論は私達はこれから10年はここで暮さなければならないようです」

「りょ〜かい、まあ取り合えず2〜3日ここらで時間のギャップに慣らしてから行動するから」

「え? 明日にでも移動するんじゃ?」

「急がば回れ、それにまだ俺は自分の体がどこまで力を出せる解らないからな…その結果で俺がサポートに回るか前面に出るか変るからな」

 佑輔がそう言うと横島とルシオラはこくんと頷いた。




「なあ、ここって本当に日本か?」

 佑輔たちは今険しい山道を登っている。

「ええ、そうなんだけど…」

「やっぱ最初はそう思うよな〜」

 横島は首をぶんぶん縦に振りながら歩いている。
 その足並みは確かで歩き慣れている感があった。

「取り合えず俺達4人で師匠無しの神さん公認の受験者ってなれば問題ないだろう?」

「なるほど」

「それにGS試験まで泊りがけでやっからそれまでお金の消費もなしと言う一石二鳥の作戦よ」

 佑輔はそう言うとわっはっはと高らかに笑ったが、そのせいで足を踏み外し…零に助けられた。

「…スマン、零」

「大丈夫?」

「ああ………」

 そんなこんなで妙神山の門が見えてきた。
 そこは2対の首から上が無い像が左右に立ち、門の所に鬼の顔が二つ、その上に看板があり下に文字が掘り込まれていた。

「なになに? 『この門をくぐる者 汝一切の望みを捨てよ 管理人』?」

「間、それはおいといて…おい鬼門! さっさと開けろよ」

「「ぐ、気付かれたか」」

「うお喋った!」

 佑輔はそう言いながら少し引いた。

「確かにわれらはこの門を守る鬼、鬼門だ」

「許可亡き者はこの門をくぐることまかりならん!」

「お主のような者には決してこの門開きはせん!」

「あら、お客様?」

 鬼門達がたんかを切ったまさに次の瞬間、門は何事もなく開いた。

「…開くのに何秒掛かった?」

「一瞬かと」

「小竜姫様〜!!」

「不用意に扉を開かれては困ります! 我らも役目というものが…!!」

「カタいことばかり申すな! ちょうど私もたい………」

「うお〜〜〜!!! 俺は横島ただ……う」

「すみません、話を続けてください」

 横島は小竜姫にナンパを使用としたがルシオラは普段よりは切れが悪いと思われるスピードでそれを止めた。

「ええと、あなた、名をなんといいますか? 紹介状はお持ちでしょうね?」

「…紹介状?」

 小竜姫はこの中で一番マシと思われる零に聞いたが、例はここを通るのにそんな物が必要だとは知らなかった。
 と言うか知っているのは横島なのだがその横島はルシオラによって静かに息と止められていた(詰まるととチョークスリーパー)。

「いや、俺達実はちょっと特殊な事情がありまして…取り合えず力だけはあるんすけどね?」

 そういいながら佑輔は自らの霊力を高めた。

「確かにかなりの力はお持ちのようですね…興味が湧きましたのでテストに合格すれば特別に許可しましょう。鬼門、早くしてくださいな」

「その方たち我らと手あわせ願おうかッ!!」

「勝たぬ限り中へは入れぬ!!」

「…2対4でやんの? 卑怯なような」

「と言うかこれ位なら私一人で大丈夫です」

 零はそう言うと一歩前に出た。
 対する鬼門は左右の像が前に出たて、零に向けて拳を打ち下ろそうとしたが零が鬼門達の足4つを綺麗に足払いでこかせた。
 さらに霊気を両手に充填させて鬼門達の顔の前にかざした。

「そこまでです、僅か4秒ですか…新記録ですね。やり方は少し変則的ですが」

「っておいおい、俺達の出番は?」

 佑輔と横島は自分を指差すがそこはあっさりスルーされた。

「それじゃ管理人さん、中に入ってもいいですよね?」

「はい、ようこそ妙神山へ」

 小竜姫はそう言うと横島達を連れ銭湯のような場所までつれてきた。

「それでは俗界の衣服をここで着替えてください」

「うわ〜、ここなつかし〜」

「え? タダオここには結構来てたんでしょ?」

 ルシオラは横島にぼそぼそと耳打ちした。

「それが初めて来た時小竜姫様が暴走してあたり一面吹き飛ばしちゃって立て直した時はこれよりももっと新しいもんだったんだよ」

「へ、へ〜…」

 ルシオラは吹き飛ばしたの辺りで少し引いたが、そう言えば自分も吹き飛ばしたな〜と思っていた。

「それで当修業場にはいろいろなコースがありますけど、どういう修行をしたいんですか?」

「実は2月にあるGS試験に向けての冬季合宿のつもりできたんですけど」

「皆さんが…ですか? はっきり言って皆さんの実力なら余裕で突破できそうな気がするんですけど」

「いえいえ、俺なんて全然すよ〜」

「解りました、では長期修行ですね? 取り合えずこちらに来てください」

 小竜姫は扉を開けそこに入っていった。
 横島達がそれに続くとそこは果てしなく続き地平線が見えるような広大な白い世界だった。

「うは、地平線なんて俺始めてかも…」

「ではまず皆さんがどれだけの霊力をもっているか確認します、順番に霊気を出してください」

 小竜姫の言う通り横島、ルシオラ佑輔、零の順番で霊気を出して順番に80、120、90、170マイトだった。

「えっと、零さんすごいですね…俺や長田さんの倍はある」

「そうですね…それでは皆さんまずはそれぞれの力を見る為にこの子達と戦って貰いますね」

 小竜姫がそう言うと闘技場に横島がかつて見た『ゴーレム』『カトラス』のほかに、
 岩で出来た怪鳥『ガーゴイル』とワニの頭に蝙蝠の翼が生え、手は熊の如く太く足がしっかりとした『キマイラ』が居た。

「で? だれがどれの相手をする?」

「お、俺はあの『カトラス』がいいんすけど…一度勝ってますし」

「私は『ガーゴイル』で」

「んじゃ俺は『ゴーレム』いくは、零は大丈夫か?」

「平気」

「それではまず長田さんからお願いします」

「おう!」

 佑輔はそう言うと闘技場に入ってきた。
 『ゴーレム』以外の妖怪は一度姿を消した。

「さて、こいつくらいなら何とかなるはずなんだが…」

 佑輔はそう言うと霊気を練り上げ、それを右手に集中するとそれを『ゴーレム』にかざした。
 『ゴーレム』は佑輔に殴りかかってきたがこぶしが佑輔に当たる直前動きを止めた。
 『ゴーレム』の体に佑輔の右手から伸びた霊気の紐が何重にも『ゴーレム』に絡み付いて来たからである。

「ち、本当なら岩ぐらいはこれで砕けるんだが…っと」

 佑輔はしばらく砕く事に力を注いだがそれは叶わず、仕方なく紐の先端を『ゴーレム』の目に突き指した。
 『ゴーレム』はそうすると音もなく崩れさった。

「め、珍しい霊波刀の使い方ですね、それに一度に何本も…」

「あ、これ霊波刀だったんだ…俺はてっきり触手かと」

「しょ、触手って…」

 なおルシオラが引いている横で零は顔を赤らめていた。

「つ、次は俺?」

「はい、横島さんです」

「タダオ、頑張って!」

「お、おう!」

 横島がそういって前に出ると『カトラス』がその前に立ちふさがった。
 『カトラス』はその両腕の釜を振り下ろして攻撃をするが横島はそれをひょいひょいと避け、『カトラスの背中に飛び乗って見せた。

「タダオ、すごい」

「ま、この程度は簡単だぜ…っと!」

 これに怒った『カトラス』は体を降って横島を落としたが、その前に横島がサイキックソーサーを投げ、
 横島が地面を転がっている間に『カトラス』は崩れ落ちた。

「いや〜、楽勝でしたね」

「すごい、今までここに来た中でももしかしたらこの人達は最高ランクに入るかも…」

「次は?」

「あ、はい…次はルシオラさんお願いします」

「ルシオラ、気をつけろよ?」

「大丈夫よ…けどありがとう」

 ルシオラはそう言うと横島にチュッとキスをすると闘技場へ向った。
 横島はそれに呆然として、その横で小竜姫が見せつけられて結構複雑な顔をしていた。

「そ、それでははじめ!」

「はあ!」

 ルシオラは始めの合図と共に霊波砲を雨あられと撃ち始めた。
 その一撃は本来岩などを削り切れるほどなのだが『ガーゴイル』はそれを華麗に避けていた。

「な、あれを避けるか?」

「いえ、恐らく…」

 零が何か言おうとした時、さっと佑輔が零の口に手を当てた。

「この!」

 ルシオラは焦った様に撃ちまくるがそれにあたる事無く『ガーゴイル』は旋回し、上空からルシオラに急降下した。

「あ! ルシオラ!!」

 横島が声をかけたが、それは届く事無く『ガーゴイル』のクチバシがルシオラを貫いた・・・様に見えた。
 しかしそれは幻術でルシオラはそのすぐ横にいて『ガーゴイル』に麻酔をかけ、行動を鈍らせて一気に霊波砲で吹き飛ばした。

「わざと霊波砲の雨に道を作りそこへ誘う事で相手に油断を誘い攻撃させそれを失敗に終わらせる…」

「頭脳プレイだな…まあ実力もかなりあるけど」

 零と佑輔がそういう横で横島がルシオラに駆け寄った。

「ルシオラ、大丈夫か!?」

「ええ…攻撃は受けてないもの♪」

 ルシオラは駆け寄って来てくれた横島が嬉しいのか横島に抱きついた。

「うわ!」

「………あの、まだ次がありますのでそう言うのはこちらに着てからやってもらえないでしょうか?」

 小竜姫はなにやら語った様な顔でそう言った。

「あ、すんません」

「は〜い♪」

「それでは零さん、お願いします」

 小竜姫は横島達を無視して零に言った。
 零はこくんと頷くと闘技場にたった。

「それでは…初め!」

 そう言うと『キマイラ』はそのワニの口を開け、2足歩行で突進した。
 零はそれをするりと避け、避けざまに鬼門達同様足払いをしたが、逆に足払いをかけた足の方が吹き飛んでしまった。
 零はそれに眉を寄せるがそれに構わず今度は『キマイラ』が背中の羽を使って飛び、低空から滑空してきた。
 零はそれに身構えるように両手を前に出したが、『キマイラ』はそれに構わず太い爪から繰り出す引っかき攻撃をした。
 しかし零は爪の根元に手を当てると、滑空の力に逆らわず、そこを支点に『キマイラ』を地面に叩き付けた。
 さらに零は右手に霊力を貯め、収縮したビームのような霊波砲を『キマイラ』の腹に叩き付ける事で勝利となった。

「すごい…あの滑空を叩きつけるには相当の筋力が必要なのですが……皆さんの力はだいたい解りました。これから皆さんにはそれぞれ別のメニューをやって貰う事になりますが宜しいですか?」

「あ、俺はちょっとやりたいもんが」

「なんですか?」

「それはまあ後からでも出来るか…取り合えずそれはまた後ほど」

 佑輔はそう言うとどこか含んだような笑いを小竜姫へ向けた。




(あとがき)

作者>お待たせしました、ようやく26話です

横島>ほんっきで長かったな

作者>いや、逆行か異世界クロスかで悩んでな

ルシオラ>結局逆行なのね

作者>というよりも並行世界に実は近いんだが…ネタ晴らしはなしで

横島>ふ〜ん

作者>取り合えず1ヶ月掛かるかも次の話

ルシオラ>そんなに?

作者>うん…と言うわけでそれではこれで

横島&ルシオラ>それではまた次回〜


BACK/INDEX/NEXT

inserted by FC2 system