「…ま、こんなもんか」

「はい、大々的なPRには最適かと」

 佑輔と零はGS試験の表彰状のお立ち台でそう言った。
 なお成績は佑輔、零、横島、ルシオラの順番だった。




 ゴーストスイーパー美神 GOS

作:ガイギス

第27話





「え? 名前っすか?」

「ああ、この世界にはもう『横島忠夫』はいるっぽいからな」

 佑輔がそう言うと横島とルシオラはなるほどと頷いた。
 ここは妙神山の帰り道、GS試験まで後3日だった。

「けどタダオはタダオよ…みよじだけで良いんじゃない?」

「まあ呼ぶ時に不都合があるんならそれでもいいけど…」

「元々私達、この世界に住所はない」

「「あ…」」

 零がそう言うと横島とルシオラはぽんと手を打った。

「で? 横島は一体どうするんだ?」

「う〜ん…そんじゃ高島でいいっすか?」

「高島忠夫?」

「はい」

「了解、そんじゃ受付にそう書いとけよ」

「ういっす」

「問題は戸籍と住所」

「「「う〜ん」」」

 零の指摘に3人は腕を組んだ。

「ま、住所不明の流れのGSもどきでいいじゃね? 
 もし深く追求されるようなら妙神山の名前出せばいいんだし」

「そうっすね」

 佑輔がそう提案し横島…いや忠夫がそれに頷いた。




「さて、俺達4人は妙神山出だからそれをたてに修行期間は免除されっだろ」

「だといいんすけどね〜」

 話は一気に試験後まで行く、4人は当然の如く1位から4位までを独占した…
 途中で当たらなかったとはラプラスのダイスも粋な計らいである。
 佑輔と忠夫がそう言いながらGS協会と交渉している女性陣がいる建物の方をむいた。
 そこでは華々しい戦跡と妙神山から出て来た事を武器に一般GSとして扱うよう交渉するルシオラと零がいた。

「けどどうすんすか? 住所無いと事務所借りるのって結構無理ですよ?」

「ま、それはGSの報酬で誤魔化せばいいっしょ」

「んな無茶な」

「最初の2ヶ月はフル稼働で働くからそのつもりで」

「…住む所はどうすんすか?」

「ルシオラが持ってきたカブトムシでいいんじゃね? とりあえずは」

「う〜ん、まあ…あ、来た」

 忠夫が言うとおりルシオラと零が書類を幾つか持って建物から出てきた。

「どうだった?」

「小竜姫さんから渡された紙を見せたらその証明としてこれだけの依頼を片付けろって」

 ルシオラがそう言うと幾つかの書類が出てきた。
 どれも最低一度はGSが敗走したと書かれている物ばかりだった。

「…うへ〜、全部で幾つあるんだ?」

「全部で213、全てをやり遂げるとこの依頼書の金額のままだと73億7千2百4万ほどになります」

「そんぐらいの金があるならその後も色々動きやすいか…」

「けどこんなに…」

「俺と零、よこ…忠夫とルシオラで組めばいいんじゃね?」

「そうすると一つ余るけど?」

「それは速く半分やった方が取るってことで…」

「げ………この半分を?」

「そ、二手に分かれた方が速いだろ?」

「まあ、そりゃぁ…」

 佑輔がそう言うと忠夫は頷いた。
 なお移動手段は逆天号に忠夫とルシオラ、地究号に佑輔と零が乗る事となった。
 これはそのまま寝泊りする所となる。

「そんじゃこれは明日からだな」

「そうっすね」

「ついでにしばらくは顔も合わせられないか…」

「そうですね」

「ま、仕方ねえな…それでどっち行く?」

「「どっち?」」

「いや、北からか南からか」

「この季節は…南の方がいいんじゃ」

「それじゃ…」

「はい」

 零はそう言うと仕分けした書類の片方を横島に渡した。

「大体ですが現地が南の方からにまとめて置きました。
 上から一枚ずつ行けばここ関東に戻ってくる頃には大半が終わっている筈です」

「あ、ありがとうございます」

「そんじゃ今日はぱぁ〜っと食事でもするか、それぞれの健闘を祈って」

「あ、いいっすね〜」

「そうね」

 横島達はその夜お互いの再会を約束し、北と南に分かれた。




「あれ、…こんなもんか?」

 横島は消えていく悪霊を見ながらそう呟いた。
 日本最西端の小島での浮幽霊騒ぎから始まり二日かけ沖縄の本島以外を終わらせた横島とルシオラは、沖縄本島での民家に憑く悪霊退治を行った。
 はじめポルターガイスト現象が起こったものの霊の核を見つけて攻撃するとあっさりと悪霊は消滅、現象も収まった。

「簡単に終わったわね」

「いや、そんな筈は…」

 横島はそう言って周りを注意深く見た。
 ルシオラもそれに習い、バイザーをかけて一戸建ての民家の隅々まで見たが、悪さをする悪霊はいないようだ。

「あれぐらいの力があればほかの霊も引き寄せられると思ったんだけどな…」

「ふうん」

 横島はルシオラと比べ除霊に対する心構えは慎重だ。
 それは今までやってきた数々の『アクシデント』や『うっかり』と言う名の人災やかなりきつい除霊現場を潜り抜けてきた由縁だろう。

「ま、居ないんならそれで良いか」

「ねえタダオ」

「ん?」

「除霊作業よりも書類作成の方が時間がかかるんだけど」

「…はぁ」

 実際GSの仕事は悪霊を除霊するだけではない。
 報告書となる書類を書く事は勿論、ある程度のアフターケアをしなければ顧客の獲得はできない。
 この能力は意外な事に横島もある程度は持っているのでルシオラとの共同作業になるのだが、それでも除霊する時間と比べると長くなる。
 もっともなかなか出てこない霊もいればいてもこちらから攻撃できないという霊もあるので必ずしもそうとは言えないが。
 横島とルシオラは書類を作り依頼主に連絡、
 依頼主様の書類を渡し近くに他の依頼がないかを確認、
 ある場合はすぐに向うのだが次の依頼現場は鹿児島県なので書類をGS教会の九州支部に送った。
 沖縄にはまだGSの支部はないからだ。
 横島とルシオラは順調に依頼を達成して行った。
 ………一方その頃

「零、これは?」

「それは悪霊の規模です、例は横の紙に書いてあります」

「どれどれ? ………ふんふん、規模は中クラスっと」

「その下には住所を…」

 一気に6件の現場を走りぬけた佑輔と零は書類作成にその倍の時間をかけていた。




(あとがき)

作者>さ…

横島&ルシオラ>うおりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!

作者>グゴ………あべし

横島>てめえ遅すぎだ!

ルシオラ>それにあとがきだと横島のままだし!!

作者>…(返事がない、ただの屍のようだ)

横島>で? 次は一体なんだ?

ルシオラ>…なにか書いてある『次は資格取得の為の最後の依頼、吸血鬼』

…後は読めないわ

横島>吸血鬼って言うとあのブラドーのとこだな

ルシオラ>そうね…それではこれで

横島>また次回会おうな!


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