GS美神 女子高生大作戦!

作:男闘虎之浪漫

外伝レポート1.二人だけのクリスマス!




 今日は12月24日。事務所に向かう令子の足取りは、いつも以上に軽かった。
 とっておきのワンピースとブランド物のコートを身に着け、足には滅多に()かないハイヒールの靴を()いている。

「もう、どこから見ても完璧だわ!」

 事務所に行く途中にあった店のショーウィンドウに、自分の全身の姿を写して再度チェックをした。

「今日こそは……今日こそは、絶対に令子をおいしくいただいてもらいますわ。お兄様!」




 事務所についた令子は、横島にエスコートされて都内の一流ホテルへと向かった。
 ホテルに到着すると、屋上にあるレストランへと向かう。

「横島様、二名のご予約ですね。こちらへどうぞ」

 中年のウェイターに案内されて、二人は窓際(まどぎわ)の見晴らしのよい席に座った。

「飲み物は何になさいますか?」

「令子ちゃんも、今日は少し飲んでみる?」

「ええ、お願いします」

「シャンパーニュ・スペシャル・クラブを。グラスは二つで」

「96年物ですね。かしこまりました」

 しばらくしてウェイターが、グラスとシャンパンのボトルをもってきた。
 そしてグラスにシャンパンを注ぐと、二人の前にそのグラスを置いた。

「それじゃあ、乾杯」

 二人がグラスを合わせた時、横島の歯がキラリと光った。

「どう、おいしい?」

「とってもおいしいです」

「よかった。この店はシャンパンもいいんだけど、料理もけっこうオススメなんだ」

「楽しみですわ」

 しばらくして前菜のサラダと、スープが運ばれてきた。
 二人は軽い会話をかわしながら、フルコースのフランス料理に舌つづみを打った。




 食事が終わっても、楽しい時間は続いていた。
 横島は食後に、赤ワインのボトルを取り寄せて飲み始めた。
 令子も度を過ぎないように気をつけながら、赤ワインを少しずつ飲んでいた。

「令子ちゃん、大丈夫? 顔がかなり赤いよ」

 しばらくして横島が、心配そうな様子で声をかけてきた。

「ちょっと、酔ったみたいです」

「そろそろお開きにしようか」

 横島は会計を済ますと、ホテルのエレベータホールへと向かった。
 うまい具合に、エレベーターを待っているのは二人だけであった。他に人影は見えない。

(今だわ!)

 令子はチャンスとばかりに、横島の胸にすがりついた。

「令子ちゃん、大丈夫?」

「すみません。ちょっと気分が悪くて……」

「あ、あのさ。実は部屋を予約していたんだけど、少し休んでいこうか?」

「ええ。お願いします……」




 横島はフロントで部屋の鍵を受け取ると、予約していたダブルの部屋に向かった。
 鍵を開けて部屋に入ると、令子をベッドに座らせる。

「気分は大丈夫?」

「ええ。もうだいぶ良くなりました」

「あのさ、令子ちゃん。実は俺、前から君のことが……」

「いいんです。お兄様の気持ちは、前からわかってました」

「今晩は、ここに泊まっていってくれるかな?」

「はい、喜んで!」

 令子はシャワーを浴びたあと、下着の上にガウンだけをまとってベッドの上に座った。
 しばらくして令子と入れ替わりにシャワーを浴びていた横島も、ガウン姿のままで令子の隣に座る。
 そして横島が、令子の肩を抱き寄せてきた。

「令子ちゃん……」

「お兄さま……」

 ……
 ……
 ……
 ……
 ……
 ……
 ……
 ……
 ……
 ……




「あっ、そんな。あまり激しく動かないで! 令子が壊れちゃう!」

「令子さん、そろそろ起きてください」

「ほへっ!?」

 令子が目を覚ますと、目の前でおキヌが、令子の肩を(つか)んで()さぶっていた。

「二人でクリスマスパーティの準備をする約束ですよね!? そろそろ準備に取りかからないと」

「あ、あれ? お兄様は?? 予約していた部屋はどこに行ったの???」

「もう、いつまでも寝惚(ねぼ)けないでください。よだれが(こぼ)れてますよ」

 令子は(あわ)てて、口元を服の袖でぬぐった。

「ひょっとして、今のは全部夢だったの!?」

「本当に気持ちよさそうに、眠ってましたけど」

「ガーーン! あともうちょっとで、初○○できたのに!」

「なんの初○○か知りませんが、いつまでも寝ていたら、横島さんが気を悪くしますよ」

「いっけなーーい。急がないと!」

 こうして令子ちゃんの初○○は、夢オチで終わったのでした。
 めでたし、めでたし。


「めでたくなんかないわよーー!」 (魂からの叫び声 by 美神令子)


(外伝レポート1.二人だけのクリスマス! 完)


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