旧世紀のゲームに出て来るプレイヤー選択可能キャラ関連の知識を要求して、
それでも意味不明なところが終盤にありますが、まぁ、いつものことかと?



 モンジュは反則 海賊版R

作:Nar9912




 怨恨。

 美神除霊事務所に限らず、GSは他の職以上に憾まれる業である。

 だが殊に魔神を倒してしまった美神除霊事務所の面々、取り分け昼行灯とも言える横島忠夫に至っては、
 何故にあの様な未熟者に止めを刺されたのかと、魔神が倒された事自体に不満を持つ者も多く居た。

 実際に、彼等は隙だらけでもあった。

 金,色など、分かり易すぎる弱点があるのだ。付け入る隙であれば、幾らでもあろう筈。
 逆恨みとも言える怨恨を抱き彼等を観察していた者達は、揃って同じ結論に達した。

 油断せず、宇宙意思さえ敵に回らなかったのなら、勝てると。

 だがしかし、策を練るべきであろう。
 美神除霊事務所に喧嘩を売ってきた者達は、殆どが勢いと機転に倒されてきたとも言える。
 スペックではむしろ否当然ながら、圧倒していたケースの方が多いとさえ。
 それでも敗れたからには、敗れる要因があったのだ。
 如何にそれが、偶然であるにせよ。

 偶然が、強運こそが、GSのGS足る所以の一つ。
 けして決して、あの面々の強運を侮ってはならない。
 そして、時間移動,文珠,霊団成仏など、人界の戦力としては確かに異常なまでに強力である事も事実。

 侮って倒されてきた者達の二の舞になりたくないなら、策は必要なのだ。

 斯様に、一部の魔族と人間を中心に、美神除霊事務所並びに関係各者打倒の案を練らんとする者達が居た。
 彼等が倒すべき相手には、弱点も多い。
 が、戦局を一瞬で覆しかねない、字面通りに切り札足り得る反則技もまた、彼等は持っている。

 …

 ……

 では、もし、もしもその反則技を、打倒する側の者達が使えたなら?

 天啓である。
 天啓であった。
 天啓に違いないっ!

 マスト ビー TENKEI. もとい、 Must be revelation!

 雷鳴なり幾重にも、バックに流れて欲しいシーンなのかも、知れなかった。
 無闇に無意味に、何かの集団が踊り狂うなどもまた、良い図なのかも知れないが。

 そう此処は一つ、雷鳴をバックに乱舞する無数のハニワ兵との図ではどうだろうか、紳士淑女の諸君?
 並スペックでは処理落ちする程にも溢れかえる、踊り狂うハニワ兵の群れ。
 論ずるまでもなく、中空も占拠すべきであろう。
 嗚呼、美麗なれ無表情の悪夢!!!

 ……

 …

 が、時間移動は上位の神魔が禁じたなら使えないであろうし、術者の意思が無ければ無意味だろう。
 故に、美神令子の能力逆用には、無理がある。
 GSに於いては、オーソドックスである事だろうと、逆用を恐れなくとも良い強みともなるのだ。
 美神令子とは否美神家のGS達とは、性格に反して地道で安定した強者でもあった。

 余談だが、精神とカラダとを一致させ……など言えば雷否神鳴りが落ち霊力が一気に増す反則は持つが。


 では、文珠は?

 文珠は制作者でなくとも使える、セーフティ無き重火器の如き代物。
 ……十二神将も同様かも知れないが、現実的に考えるのなら文珠がより良いだろう。

 そう、何よりも自身の力のうち最強の決め手である極め付けの反則能力で倒されるとの屈辱。
 これまで反則技で勝ってきた者達には、相応しい末路と思われた。

 だが、其処に大きな問題否落とし穴がある。
 敵対者達は一体、どうやって、文珠を入手すれば良いのだろうか?

 …

 …

 別段、トンボのスクリーントーンが飛ぶ事もなく。

 文珠が流出しているとの噂が、タイムリーにも飛び出していた。
 否入手したがっていたからこそ、その情報を知り得たとも言えよう。

 あまりにもお約束ではあったのだが、厄珍堂で、無保証で売り出されているとの事。
 厄珍堂にしては、意外とリーズナブルと言える価格でもあった。
 尚、飽くまでも噂の域を出ない程度の情報であるが、

「ここ最近お金にならない仕事ばかりしてた気がするけど、これなら利益も出るわね!!
 もちろん、横島クンにもね。
 ……あの時より良い食事も、毎日、用意してあげるから。しっかり頑張ってね!」

「さすがは美神さんっ!!
 汎用文珠っすか。名前が付くとなんかこう、スゲー気がするっすね。
 しかも売り上げは俺と、美神さんとカオス達で山分け! 美神さん達の手料理付き!!
 ……あん時の事は思い出したくないんすけど。
 とにかくこれで!! 一週間でラーメン二袋と水なんて事は、もう、昔の話!
 くぅーーーっ、これが極楽か、此処が極楽なのかっ?!」

「ちょ、ちょっと人聞き悪い事言わないでよ。
 前からずっと、事務所に来た時はいつでも食事くらい出しているでしょーが?」

「……あー。そう言えば、そうっすね。
 でも、どうしてもっと値段をつり上げないんです?
 いつも使っている御札の、百倍くらいは吹っ掛けるのが美神さんらし……
 いえ、何でもありませんです、ハイ。
 ただちょっと、山分けするには単価が安いんじゃないかなーって?」

「もう、相変わらずバカね。
 ちょうど買うか買わないか迷う価格設定じゃないと、需要があっても売れないものよ?
 代替手段があるケースだと、最初っから殿様商売なんて事は出来ないの。
 そんなのは、市場を寡占してからにしなさい。
 スリルとビッグマネーを楽しむ為にもコツコツ貯める。結構、面白そうじゃない?
 横島クンもあのご両親の子なんだし、楽しいと思うでしょう?」

 でも、手はあるんだけどね。
 ゲーム機と見れば高くても、ゲームOKな汎用機と見て買うとかフツーにありそうでしょ?
 などと、良く分からない台詞が続きもしていたかも知れない。
 ……6万円台7万円台は高過ぎると、個人的には思いもするのだ。閑話休題。

 など、貧困生活の末に一山当てた喧嘩友達のように、仲の良い山師同士との風情。
 また言葉に出ない部分で、深い繋がりを感じさせていたらしい、その立ち居振る舞い。
 目に、金,$と浮かぶ程にも古典的ストレートさで以て、歓びを顕し合っていた二人連れ。

 どうでも良いが、甲斐性無しのヒモ野郎と恋人候補な美女の一幕と、見えなくもなかったとか。

 その情報に。

 煩悩魔人でさえも食欲の方が上回るらしいと、敵対する彼に哀れを感じてしまったそれに。
 真に窮した事ある者ならば分かるだろう其処から読み取れる思いに、嘘は感じられなかった。


 君は、落ちてある物を、何処まで食べ物と思えるか!!!


 ともあれ少なくとも調べる価値はあるだろう。

 …

 …

 汎用文珠。

 確かに、汎用と言わなければならないらしい。
 文字無しの文珠。
 本来なら何時崩壊するか分からない、単なる凝縮された霊力の塊にも近いそれ。
 それを、ドクターカオスの錬金術が長期間保存可能にしたとの事。

 カオスの業を正確に知る労は、打倒美神除霊事務所の観点からは不要であろう。
 欲しい結果が出れば良く、中身はブラックボックスでも構わない。

 が、カオスは時折――頻繁にとの噂もあるが――失敗するのだ。

 それはもう、盛大なものらしい。
 故にであろうがまず様子見との事で、幾らかの禁止事項を設けた上で、市場に出したらしい。
 その試作品は当然に量産試作品であって、区分上は売り物以外の何者でもない。
 利益は、関係各者で折半との事。


 文珠は、その希少性から、詳細を知る者が少ない。
 制作者以外であっても使えるとの事実さえ、戦友以外であれば知らずとも不思議は無い程に。
 それ故、わざわざ説明書付で売られているとの事。

 即ち、“浄”,“壁”,“護”,“癒”など、特定の文字を例に挙げているのだ。
 それは恰も、それらの文字しか使えないかのような、説明文,図解とともに。

 暴走させたくなければと、霊能業界に身を置く者には反射的な恐怖をもたらす呪言を添えて。

 真に悪用できないよう、霊的なストッパーなり掛けられているのかも知れない。
 だが強力で小型で、一般の御札よりコスト対効果が良いのなら。
 十分に有用な既定の用法以外に、危険を冒してまで他の用途を確認する必要があるだろうか。

 ハッタリは横島の最も得意とする技ではあるが、この場合、それは至極有効である。

 それでなくとも効果はあるのだ。
 わざわざ霊的犯罪に該当する行為を行い、オカルトGメンなどの公権力と、
 抑制が無い分それらより恐ろしいとの情報が噂であって欲しいそれらを持つ美神除霊事務所とを。
 更には災害が服を着た関係各者達を。
 纏めて敵に回す事は、あまりにもリスクが大きいのだから。

 そう、魔族でさえもが策を練って戦おうとする程に、彼等は脅威なのだから。

 …

 …

 仮に、敵対者向けトラップが仕組まれていようと、術者の手から離れたそれで被害を受ける様なら、
 美神除霊事務所の面々と事を構えるには不足であろう。

 故に、彼等は購入した。

 なるべく怪しまれないよう、人間の協力者達を雇うなどして。
 一度に大量には購入しない労まで費やして。

 実力で悪霊達を倒して、汎用文珠の効果を厄珍堂に虚偽の事後報告を為す事さえ行って。
 時に思った効果が出なかったとして、飽くまでも量産試作のまま、一般販売には至らない配慮さえして。

 …

 …

 時は過ぎ、機は熟した。
 最初の頃に購入したそれらは霧散してしまいもしたが、事を構えるに十分な数の文珠が揃っていた。

「反則技で勝ち続けてきた奴らが、てめぇの力で倒されるか。いいねぇ」

 “離”“間”,“禁”“術”,“無”“援”……案は幾らでもあった。

 これまで溜めに溜めてきた怨恨に相応しい報いを、与えてやろうではないか。
 無力感を味わわせつつ、ジワジワと横島の如きスタイルで追い詰めて。

「なぁに、殺しはせんよ。ただ貴様等の業績全てを、無かった事に等しくするだけだ。
 うだつの上がらない負け犬人生、精々長生きして楽しんでくれ!」

 それが、俺達からのプレゼント!!!

 何時しか恋愛モノな雰囲気に満たされた美神除霊事務所の近況報告に、打倒横島が中心となっていた。

 それでも。

 彼等を倒す事が目的である点は何も変わらない者達は、
 その大いなる怨恨を力とならんばかりに籠めて、
 そう先ず敵への思いで己のそれを強化すべく、
 “怨”“恨”と大量の汎用文珠に籠めんと、
 遂に、

 発動させたのであった。

 そうして……




「おかしいのね。どうして会心の策を出した私がお目玉を食らうのね。納得いかないのね〜!!!」

 とある場所では、全てを視ていた黒幕が不満の声を上げ。

「「「野生野菜の力を思い知ったか!!!」」」

 またとある場所では、窮すれば色より金より食を取るとの正常な生命振りを体現した経験を持つ、
 各々世代が全く異なる三人の漢達が、しかし絶妙に息の合ったサムアップとともに気勢を上げたのだ。



 要は汎用文珠に隠されていた効果が発動したのではあるが、敵対者の企ても、その一部は成功した。
 即ち敵対勢力を一網打尽にしたとの壮大な成果が、無かった事とされて後生には伝わらなかったとの。

 尤もそれも当然であろう。

 誰であろうと、“R”一文字が隠されていただけで、敵対勢力の怨恨を根刮ぎ変換したとの戦果。

 敵対勢力に直接の害を為すものでは無かったが故に見逃された、それ。
 そも何事も起きまいと敵対者達が気にも留めなかった、それ。
 文字が隠れていると感知出来てもいたのであるが、
 上書きしてしまえば良いだけと思えただろう、それ。

 最初から念が追加される事を狙っていた、その一文字がもたらした絶大なる効果。

 だがしかし、誰もが皆それを、正当に評価など、したいとは思わなかったのだ。

 貧困に喘ぎ食べ物の大切さを良く知っている、女神様の提案に飛び付いた三人の漢達と。
 金が稼げる上に身内への危険まで減り、駄目元でも自分は痛くも痒くも無いが故に飛び付いた女と。
 いつもの事とばかりに高みの見物を決め込んでいた仲間達。

 詰まりは、美神令子とオモロい奴らな面々以外に於いては。

 如何に完全なる勝利であろうと否だからこそ、正当に評価したくはなかったのだ。
 怨恨を完膚無く消し去って、食糧難の国に寄付までするとの、
 全く以て評価されるべき取り組みと、然るべき成果であったにも拘わらず。

 その、あまりにも阿呆らしくて反則なそれを。


 R + “怨恨” = RENKON. ー> れんこん

 正確には、

 ( R + “怨” ) + ( R + “恨” ) = RENRKON. ー> “蓮根”


 子音の重なりはサイレントで無効と思い込めた施術者のイメージが成し得た、
 イメージこそ霊能の結果殊に文珠の如き特異なそれのもたらす結果に直結する事からの、

 あまりにも阿保らしくて販促なそれを。
 あんまりにも阿呆らしくて反則な奇跡を。

 評価する気になど、全くにしてなれなかったのである。


 尤も無闇に正義漢な者も居て、記録の一部だけでも残そうとはした。即ち、

 “ヒャクメは全て知っている”

 と。だが、何故かその記録は、誰にも見向きもされなかったとか。



「勝つのは強いバカなのね。私は知っていたのに……。やり直しを要求するのねーーー!!!」




 なお野菜という名詞の、常とは異なる弊風なる意を、漢達が知っていたどうかは、定かではない。


(海賊版R 了)



ストツー、古すぎる気もしなくも。格闘ゲー、新世紀に入ってからやってなくて……
もしかすると今もSFシリーズはあるのかも知れませんが、ネタが古いのはやってない
為だったりします。下手な元ブランカ使いより、悪しからず。


カウンタ


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