「ねえヨコシマ? そのやくちんさんのお店って何があるの?」

「ん? そ〜だな〜…GSで使うお札とか以外にはなんかいわく付きの壷だったり未実験のものだったり…」

 横島はそういうとう〜んと考え込んだ。
 横島とルシオラは美神の使いとしてデートがてら厄珍の店に向かっていた。

「ふ〜ん…」

「あ、そうだ、厄珍は(俺と同じ)女好きだから気をつけろよ?」

「…そのかっこの中がとっても気になるけど今は深く突っ込まないであげるわ」

 ルシオラはそういうと横島の腕を抱きしめて笑った。
 横島は冷や汗をかきながらも頷いた。





 ゴーストスイーパー美神 GOS

作:ガイギス

第4話






「ち〜す」

 横島はルシオラを店の外に残し厄珍の店に入った。

「ん? 令子ちゃんとこのボウズあるか。
 今日は何のようあるか?」

「ん? 美神さんから注文書もらってな、ほいこれだ」

 横島は厄珍に美神から預かった注文書を渡した。

「ほいほい…少し待つよろし、これならすぐに持って来るね」

「おう、わかった」

「ヨコシマ終わったの?」

 横島がそう言うとルシオラがちょこんとドアから顔を出した。

「あ、もうちょっと待っててくれ、今…」

「ささ、入るよろし!」

 横島が言い切る前に厄珍が飛び出しルシオラを店内に迎えた。

「やろ、おい厄珍! 俺の女に手を出すなよ!」

「俺の女…あるか?」

 厄珍はその発言に怪しいという目で見、ルシオラはその言葉にトリップして顔を真っ赤にさせた。

「ボウズの女って…そんな訳ないアル」

「無い訳あるか! 俺を何だと思ってんだ!?」

「煩悩付けの変態高校生」

 厄珍がそういうと横島は返す言葉がなかった。
 ルシオラは厄珍の言葉に半ば頷くような格好を見せた。

「ほら見るよろし! 彼女も納得してるね」

「そ、そんな…ルシオラ〜」

「クス、ごめんなさいヨコシマ。
 けど私はそう言うのも含めたヨコシマが好きなのよ?
 それはまあそういうのが無いならない方が良いんだけど…それじゃあヨコシマじゃないでしょ?」

「ううう…ルシオラ〜!!」

「キャ♪」

 横島はルシオラの言葉に感動してルシオラに抱きついた。

「…あ〜よく解ったあるからこれ持ってさっさと帰るよろし」

「ルシオラ〜!!」

「人の話を効くアル!」

 厄珍はこちらに気づいていない横島の足を蹴った。

「いて! 何だよ厄珍」

「さっさとこれ持って帰るアル! 代金は何時も通りと令子ちゃんに伝えるよろし」

「おう解った、ルシオラ行くぞ?」

「うん」

 横島はそう腕の中のルシオラに言うと二人は抱き合ったままその場を後にした。

「まったく、それにしてもよくもまボウズに彼女ができアルね」

 厄珍はそう言ってあきれていた。




「美術の中尾先生、今日も休みみたいですね」

「あのじーさんも年だしな、当分楽できて良いじゃん」

 ここは横島、ビート、タイガーが通う高校の美術室、そこにはその3人のほかに、

「授業〜青春〜」

 と言いながら横島が持ってきたスナックをタイガー、横島と一緒に食べている机妖怪愛子がいた。
 …しかし授業の時間帯に横島達と一緒にスナック食ってていいのか愛子?

「こら〜!! 席に着きなさい!!」

 その時クラスの担任が女性を連れて美術室に入ってきた。

「お!?」

 そう言ってぴくっとうごいたのは何も横島だけではなかった。

「体調を崩した中尾先生の代わりに、急きょ着任していただいた暮井緑先生だ」

「よろしく」

「くれぐれも失礼のないようにな! まじめにやれよ! 横島!!」

「俺個人に名指しで言うこたね〜だろ!?」

「まあまあ」

「普段の行いが悪いですけんの〜」

 横島の反応にビートはなだめタイガーは担任の意見に納得していた。

「じゃ、今日は人物デッサンをやりたいと思います。モデルを選んで…」

「先生!」

 暮井が最後まで言う前に横島が手を上げた。

「モデルは女性がいいと思います!! できれば下着!! せめて体のラインがはっきりした体操着ってのはどうでしょう!?」

「「「「「おお! 横島ナイス提案!」」」」」

 横島の提案にクラスの男子の半数以上が賛成し…

 ドカバキグシャ!

 女子から机やら椅子が飛んできた…火事場の馬鹿力とはすごいものである。

「裸婦が書きたいの? いいけど女子がモデルのなるの…全員反対みたいね。
 じゃ、私がモデルになるから…」

 暮井がそういうと上着を脱ぎかけた。

「おのれは〜〜〜!!!!!」

 担任が戻ってきて横島にパンチした。

「満足か!? ああん!? あれほど言ったのにそれか!?
 わしの学校をそれほど破壊したいのかああ!?」

 さらに横島の襟首をつかむと持ち上げた。

「ま…待った!! 今の展開は俺もびっくりしているしだいで…」

「い〜じゃないですか。
 人体には男か女かどちらかしかいないんです。
 ヌードデッサンは人物画の基本ですよ」

 暮井は結局白衣を脱いだだけだった。

「そんな本格的なことはこいつらに必要ありません!?
 こいつの目的はあくまでセクハラです!!」

「…セクハラ? ……すると今の彼の言動は、女性を身勝手な性欲の対象ととらえ、
 人格を無視しての狼藉に過ぎなかったわけですか?」

「は?」

「美術への冒涜ですね…!!」

 暮井はそういうと横島をギロッとにらんだ。

「…もしかして怒るとこわい!?」

「そ、そのようだな!!」

「罰として君がモデルになりなさい!!」

「え…!!」

 暮井はびしっと横島を指差しながらそう言った。

「やるのよ!!」

「…ヌードっすか?」

 横島はそういいながら服を脱ぎ始めた。

「誰が脱げといいました! 着衣でいいです。
 私も書くから指示通りのポーズをとるのよ」

「ほ、よかった…」

「「「当たり前じゃ!!」」」

 横島の安堵にクラスの男子が突っ込んだ。
 横島は暮井に言われるままポーズをとったがその間暇だったのでルシオラと念話していた…




「ヨコシマ!!」

 ルシオラは急いで美神の事務所に駆け込んだ。

「ど、どうしたのルシオラ? まだ横島君は来てないわよ?」

「あの、そうじゃなくて…いえ、そうでもあるんですけど…ええと…」

「兎に角おち…」

「令子ちゃん大変アル!!」

「ええい、今度は何!」

 美神が言い終わる前に厄珍が美神の事務所に入ってきた。
 ルシオラはいまだ混乱しているようなので先に厄珍のほうからきいた。

「『ドリアン・グレイの絵の具』を素人に売った〜!?」

「そうアルよ〜〜〜! 失敗したアル〜〜〜!!」

「…ドリアン・グレイって、なんです、それ?」

「19世紀の美形の遊び人で、画家バジル・フォードの絵のモデルよ。
 不思議なことに彼は永い間老いることなく若いままだったの」

「不老不死だったんですか!?」

「いいえ、彼のかわりに彼の肖像画が老けていたのよ」

「へ〜そういうのがあったんですか…」

 美神の話にルシオラも復活して聞いていた。

「バジルはオカルトをかじってて…ドリアンとは恋仲だったのよ。
 恋人を永遠に若く美しいままにするために、特殊な絵の具を使ったってわけ。
 それが『ドリアン・グレイの絵の具』!」

「早い話がドッペルゲンガーを作るアイテムアルよ!
 その絵の具で肖像画を書くとドッペルゲンガーがモデルと入れかわるね!」

「絵の具…肖像画…」

「何でまたそんなヤバいものを素人なんかに…」

「ウチにはフツーの骨董品もたくさん置いてるよ。
 その客、ちょっと若くていい女だったんで、見とれてつい間違えたアルよ…!!」
 探して!! お願い!!」

 厄珍はそういうと美神に泣き付いた。

「何で私が…!! ケーサツに頼め!」

「肖像が…モデル…」

「警察に行けばワタシ営業取り消しになるアルよ!
 そんときゃ令子ちゃんのあの件やあの件…しゃべるかもしれないアルなあ…」

「OK! 協力は惜しまないわ!」

「…なにをやったんですか…!?」

「スタンダートに脱税かしら?」

「美神さん!」

 ルシオラがそういうと事務所にビートとタイガーが駆け込んできた。

「ビートにタイガー!? どしたの?」

「横島さんが…うわ!」

「ヨコシマ! ヨコシマはどうしたの!?」

「よくわからんのですが横島さんの様子がおかしいんですじゃあ」

「ボクはどこもおかしくなんかありませんよ。
 宿題と明日の予習をしたいんで失礼していいですか? 今日は仕事ないでしょう、美神社長?」

 横島の言葉に一瞬その場が固まった。

「変だけどこのまま…」

「いや〜〜〜!!!」

 美神が言い終わる前にルシオラが絶叫した。

「ヨコシマを、ヨコシマを返して〜〜!!」

「…ビート、横島君はいつからこうなったの?」

「美術の時間にモデルになったあと、ずっとこの調子で…」

「モデル!」

「ひょっとし…」

「うわ〜〜!!」

 厄珍が何か言おうとしたとき横島の悲鳴が聞こえた。
 そちらを見るとルシオラが霊波砲で横島を攻撃していた。

「この! この!」

「うわ、ちょっと。美神しゃ…ぎゃ〜〜」

 横島は美神に助けを呼ぼうとしたがその前にルシオラの霊波砲にあたり、
 消滅する瞬間絵の具になって散開した。

「ちょ、どうし…え?」

「分裂!? どこに行ったの!」

「ちょ、ちょっと待ってルシオラ! いったいどうしたの?」

 美神に止められたルシオラは涙目になって答えた。

「横島がいきなり別れようって…今までの事はすべて水に流そうって…
 本物じゃないくせに、ヨコシマの顔でそう言ったんです! だから!!」

「…ああはいはい、解ったから落ち着いて…それにしてもどこ行ったのかしら? あの絵の具」

「霊波砲が効かなかったわ…」

「あいつはフツーの方法じゃ退治できないよ、このリムーバー液を使うよろし」

「貸して!」

 ルシオラはそういうと厄珍からひったくるように容器を受け取るとタイガーに走りよった。

「どうし…」

「動かないで!」

 ルシオラはそういうとタイガーの後ろの壁に液体をかけた。
 するとそこから悲鳴とともにピカソの絵のような物体が一瞬顔を出し消滅した。

「それでヨコシマは!」

「横島君の絵はどこにあるの?」

「先生が自宅に持ち帰りました。
 住所は調べればすぐにわかるはずです!」




 ルシオラたちが暮井の住むマンションにたどり着いた。

「…あれ? 返事がありませんね」

「踏み込みましょう! くれぐれも油断しちゃだめよ!」

「私はベランダのほうから行ってみます!」

「あちょ! …ルシオラ! もう!」

 ルシオラはそういうと美神の制止を振り切って外から飛んで回って暮井の部屋のベランダに来た。

「さすがにこっちからくるとは思わないはず…ここ?」

 ルシオラがそういうとガチャット言う玄関のドアを開ける音がしたが、それからしばらく踏み入る音が聞こえなかった。
 ここからは玄関が見えないのである。

「あら? …まさか!」

 ルシオラはそう言うと霊波砲でベランダのガラス戸をぶち破った。

「ヨコシマ! どこ!」

「ちょ! あなた誰よ!」

「あなたがドッペルゲンガー、つまりヨコシマをどこかにやった奴なのね! ヨコシマを返しなさい!!」

 ルシオラはそういうと分けてもらったリムーバー液の入ったビンのふたを開けた。

「この…」

「待って〜〜!!! 彼女を消さないで〜!!」

 ルシオラが液体をかけようと振りかぶると絵からオリジナルの暮井緑が横島、美神達と同時に現れた。

「ヨコシマ〜!!!」

「ルシオラ!? ここは…たすか…ぶ!」

「ヨコシマ♪」

 ルシオラは横島が開放されるのを見るとリムーバー液を後ろにぽいと捨てると横島に抱きついた。
 横島はいきなりの<文字通り>飛んで抱きついたルシオラの為に押し倒される形で床に倒れた。

「うわ! ルシオラ?」

「いきなり話しかけたと思ったらまたいきなり黙るし! どうしたのかと思ったらやっぱりトラブルに巻き込まれてて!!」

「ご、ごめん…」

「私がどれだけ! …ううう」

「ルシオラ…」

 二人はそう言うと二人の世界に入っていった。
 なおそれを羨ましそうに見ている男が二人、そしてルシオラに嫉妬の目を向けているのが3人、
 そして二人の行動に驚いている一対の女性がいた。




「それで?」

「う…その後俺が…その言って…」

「なんて?」

 その日の夜ルシオラに横島はいろいろと尋問されていた。
 場所はベットの上で、二人は一緒にそのベットの上にいた。

「う、それは…」

「それは?」

「ううう…」

 横島は自分に甘えるように胸に自分の頬をこすらせているルシオラを見た。
 ルシオラは口では厳しい事を言っているがその表情は甘えているそれだった。

「ね? 早く言って?」

「モデルは女性がいいって…」

「それだけ?」

「…で、できれば下着、せめて体育着って…」

 横島がそう言うとルシオラは体を起こした。

「ルシオラ?」

「そんな不安そうな顔をしないで? 別にだから嫌いになったって訳じゃないから」

「ほ…」

「けどそれとこれとは別よ?」

「う…そんな〜」

「そ〜ね〜、お金はあるし何か買うって言うのも休日にやってるし…
 かといって旅行なんかは都合上難しそうだし…」

「うんうん!」

「う〜ん…あ、それじゃ…」

「え? な、なんだ?」

「クスクス…後のお楽しみ、それじゃ寝ましょ?」

「ちょ、いったいなんだよ! 気になるだろ!?」

「それはその時までの秘密です」

 ルシオラはそう言うと横島に抱きついて横島の胸に顔を埋めた。
 横島は何とか聞き出そうと試みたが結局うまくいかなかった。
 なおルシオラの要求は学校、事務所の送り迎え<ルシオラが横島を抱えて飛ぶ>2週間であった。
 ルシオラから言われた時は横島はかっこ悪いと抵抗したが結局は折れそれを実行し…
 学校の同じクラスの男子に睨まれる結果となった。




(あとがき)
作者>う〜ん…
ルシオラ>これってラブラブ?
横島>ち〜と違うんじゃないか?
作者>…そうなんだよね…
ルシオラ>それより次って…
作者>時期はずれのクリスマスネタ…<現在7月>
横島>じゃあこれなんだ?<そう言ってどこかから原稿を持ってくる
ルシオラ>え?なんなの?…
作者>どれですか?…ああ、これは没です
ルシオラ>えええ!!!
作者>だって原作にはちゃんとクリスマスやってんだもん
ルシオラ>別にクリスマスにあわせなくても! その後の時間空いているんだからね?
作者>けどこれ完全オリジナルになるから時間かかるよ?
ルシオラ>う…
横島>ま、しゃあないんじゃない?それはさ
作者>…了解、まあ少しは削るけどそれも書いとくよ
ルシオラ>ほんと!?
横島>よかったなルシオラ…ルシオラ?
作者>…どうやら完全に意識があっち行ってる
横島>あら?…まあいいか、それじゃあ次回!
作者>時間がかかってしまいますが…まあこれを待っている人も少ないか(笑


【管理人の感想】
 以前の予告どおり『ルシオラ in 〜』のようなお話でしたね。
 甘々な横×ルシがけっこうよかったです。(^^)


BACK/INDEX/NEXT

inserted by FC2 system