「ヨコシマ……ん」

「……ルシオラ、どうしたんだ?」

 行き成りキスされた横島はルシオラを見上げた。

「たまにはいいでしょ? いつもはヨコシマからなんだからたまには……ね?」

「あ、ああ……」

 横島はいつにないルシオラの攻めに戸惑ってばかりだった。
 ルシオラはそんな横島の反応に笑いながら横島の首に抱きついて横島とじゃれ付いた。





 ゴーストスイーパー美神 GOS

作:ガイギス

第7話






「……で? 今回はまたどんな依頼なんですか?」

 ルシオラはそう冷ややかに美神に訊いた。

「な……なんか棘があるいいかたね……まあいいわ、今回はある珍獣の捕獲よ!」

「「「……」」」

 美神がそう言うとルシオラ、横島、おキヌがじと〜と美神を見た。

「な、何よその反応は!?」

「だって……ねえ?」

「こういう場合十中八九……」

「お金に目のくらんだ依頼だって解りますから……」

「「「はあ……」」」

 3人にそう言われ美神はこめかみに欠陥を浮き上がらせるも事実である為に反論できなかった。
 そんな4人の前に今回の依頼主となる農村の村長がいる家が見えてきた。




 美神達は早速その珍獣が現れるという畑が見える場所に村人と共に隠れた。
 それからしばらくして畑のほうにぼうっと光が現れた。

「あれは……!?」

「しッ! あれが今回の獲物……ユニコーンよ!!」

「あれがユニコーン……」

 ルシオラがそう言うとユニコーンはあたりを一度見渡した後畑に生えていたキャベツを食べ、その場で糞をした。

「お……おらのキャベツが―――ッ!!」

「し、神話のイメージと違うのね……」

「キャベツ食ってフンを……?」

「神話の中で美化されてきたけど、本来ユニコーンは農家にとっては害獣よ。
 でも奴の角にはあらゆる呪いと病気を治す効果があって、乱獲されて今じゃ人間界に現れることはほとんど無いの」

「だもんで『ヴァチカン条約』とかいう法律で、退治どころか指一本触れてもいかんとゆーんです。
 Gメンは特別捕獲許可が降りるまで数日かかるって」

「すっかし、こんなペースで荒らされちゃ、それまでに村は全滅だ!」

「まーかせて! 私は役人なんかよりずーと融通がきくから! 今日中に始末してあげるわ。
 お互いこのことは秘密よ!」

「……前回の反省がまったくありませんね」

「そうね……」

「あんた達あの角の粉末がグラムいくらか、知ってる!?
 シャ○や○ロインの末端価格なんてめじゃないのよ!!
 その金の前にはモラルも反省もホワイトアウトしてしまうのよッ!!」

「よーするに金に目がくらんでいるんですね」
「「はあ……」」

 おキヌとルシオラがため息をつくと美神は懐から一発の銃弾を取り出した。

「大丈夫、殺したりはしないから! 狙いは角だけよ! 角を奪えばユニコーンも魔力を失って逃げてくわ!」

 美神はそう言うとセットしておいた大型スナイパーライフルを構えた。
 ユニコーンは美神が発射体制に入ったその時走り出したが構わず美神は発射した。

「霊麻酔弾発射!! 逃げてもムダよ!! この弾丸は自動追尾なんだから!!」

 美神が言うとおり弾丸は霊的処置を施されているらしく、

「マスイしまーす!! スイマセーン!! 曲がりまーす!! スイマセーン!!」

 と言いながらユニコーンの後を正確について行った。
 しかしユニコーンに当るかどうかと言う所でユニコーンは消え、弾丸は近くに納屋に命中した。

「テ……テレポートした!?」

「奴はどこに――――!!」

「こっちにはいないわ!!」

「あっ……!! あそこ!!」

 おキヌが指差すほうを見るとテレポートしたユニコーンが相変わらずキャベツを食べ糞をしていた。
 さらに美神達の方を見ると馬鹿にしたように笑った。

「なめられてる…………!?」

「捕まるわけないって余裕ね……! ま、なかなか捕まらないのがユニコーンなんだけどさ。
 近代兵器でたっとり早く……ってのは甘かったみたいね。
 やっぱ古典的手法でやるしかないか……!」

「古典的手法って……?」

「私も知らない」

 横島、ルシオラが首をかしげると美神が説明した。

「伝説を知らない? ユニコーンはね、美しく清らかな乙女に弱いの。
 乙女の膝に頭をあずけて眠ってしまう習性があって、その時全くの無防備になるわ。
 狩人はその好きに近づいて、角を奪うってわけ」

「……ヨコシマじゃないんだから」

「ろ……ろまんちっくですねぇ……!」

「なーにが清らかな乙女だ……!! 馬のクセにそんなうまい設定なんて許されるんかいッ!!」

「それが許されるのよっね!」

「それでっ! 誰が行くんです?」

 美神とルシオラ、そしておキヌに横島が踏みつけられながらルシオラが訊いた。




「……ま、美神さんなら別に良いかな」

「なにがです?」

「あ、いや、なんでもない」

 横島がそう言うとルシオラの手をそっと握った。
 そこはおキヌから死角になっていた為おキヌは気づかずに美神のほうを見たがルシオラは嬉しそうに横島を見た。
 横島はルシオラをチラッと見ると握る手の力を強めた。
 ルシオラは嬉しそうに握り返した。
 ユニコーンは着替えて座っている美神に少しずつ近づいた。
 横島はライフルを構え美神の指示を仰いだ。

「照準よし!! 合図があればいつでも撃てます!」

『まだよ、もーちょい!! ユニコーンが眠るまで待って!』

 美神がそう言うとユニコーンは美神の前で立ち止まった。
 と、ユニコーンの角が光だし、その時美神は相手の思考が読み取れた。

「こ……これは!? テレパシー!! 思考走査されてる!?」

 美神がそう言うとユニコーンは後ろ足で美神を蹴り上げた。

「きゃ―――ッ!?」

 なお思考走査された結果は本人とユニコーンしか解らない。
 そして今度は美神所霊事務所の良心、おキヌにお鉢が回ってきた。
 おキヌは着替え終わると美神がいた場所に座った。

「こ……こわいです〜〜〜っ!!」

『大丈夫おキヌちゃん!! おキヌちゃんは美神さんのようなバッタもんじゃないからっ!!』

『誰がバッタもんよ!?』

『少なくとも清らかじゃないじゃないってことでしょ?』

『く……う、うっさいわね!!』

 ルシオラの評価に美神はグサッと来るものがあったがいじでそう言い返した。
 そうこうする内にユニコーンがおキヌを見た。
 思考走査をしているらしいがすぐにぷいっとそっぽを向きキャベツを食べた。

「……近づきもしませんね……?」

「それじゃあ……あんた何やってんの?」

 美神はそう言うとルシオラを抱きしめている横島に言った。

「だって順番からして次はルシオラでしょ?
 何であんな馬にルシオラの膝を与えなきゃ行けないんすか!?
 これは俺のもんだ、断固はんた……ぎゃ〜〜〜〜!!」

 横島が言い切る前に美神の神通棍により野球のホームランよろしくかっ飛ばされた。

「グダグダ言うんじゃない!! ほら、ルシオラも早く用意して!!」

「え、ええ……」

 ルシオラはそういいながらも吹っ飛ばされた横島を嬉しいような哀れなような目線で見た。
 そんなこんなでルシオラの準備が終わりおキヌと同じ場所に座った。
 ユニコーンはどうやらおキヌと同じく思考スキャンをした。
 その時ルシオラがピクッ! と肩を上げたり照れたように頭をたれたりすねるようにうううと唸ったりした。
 なおこのときの思考走査の結果は

『胸に将来性なし、よくてノーマル』『単純一途』『良妻』『未処女』『色気あり』『微妙に過激』『虫』『生後一年未満』『マッドサイエンティスト』『魔物』

 だった。

 ユニコーンはしばらく迷うそぶりを見せたが結局ルシオラに近づいた。
 ルシオラが手を伸ばせばユニコーンに触れられる距離まで来た時、ユニコーンはピタッと止まった。
 そして美神達がいる方にそっと目を向けた。
 そこではビクッとする女性二人となにやら黒い影を纏っている男がいた。
 ユニコーンはその男からの余りにも重い殺気に身動きが取れなくなった。
 美神は横島の殺気の余波に驚き、注意どころか話しかける事すら出来なかった。
 ユニコーンはしばらくそのまま固まった後ルシオラからそっと離れようとした。
 しかしその時ルシオラが笑顔のまま魔力を開放した。
 顔は笑いながらも目は「離れたりしたら全力で追う」といっていた。
 ユニコーンはそのまましばらく行く事も戻る事も出来ずにいたが、結局ユニコーンはその場をテレポートで逃げ出した。
 横島はそれを見てほっとしたがその次の瞬間美神とおキヌにより血の海に沈んだ。
 そしてルシオラはさっと立ち上がり周辺をどこから出したのかバイザーを付けてあたりを見渡した。
 そしてある方向を見るとまたなにやら懐から取り出し、飛び上がった。

「あ、ルシオラ!!」

「え? ……あ、ルシオラさん!?」

 美神とおキヌがそういうがルシオラはそのままユニコーンがいる方向へ飛んでいった。
 ルシオラの唯一のストッパー、横島は二人がかりで撃沈させられているため動けなかった。
 美神はルシオラが向かった方向へ横島を引きずりながらおキヌと向かった。




「……おかしいですね、農協にも役場にも誰もいませんよ!? せっかく捕獲許可が早く降りたのに……」

「……なーんかにおうわね。
 出かけに令子にひのめをあずけようとしたら、あのコいないのよ! 前回の……」

「!! 先生っ!? ユ……ユニコーンが―――!! ひのめちゃんのひざで眠ってる……!?」

「い……いつのまに……!?」

 美智恵達が驚いてるとそこへバイザーを被ったルシオラが飛んできた。
 これに二人はさらに驚いたが雰囲気がただ事じゃないのでとりあえず必死にルシオラを止めた。

「離して! あの馬地獄を見せなきゃいけないの!」

「ちょっと落ち着きなさい! いったい何があったの!?」

「そうだよ……横島君も着てるんだろ? そこでこんな醜態をさらすわけには……」

「そんなこと関係ないの!」

 ルシオラがそう言うとユニコーンをにらみつけた。
 ユニコーンはいまだにひのめのひざで眠っているがその体はぶるぶると震えていた。
 その時ようやく美神たちが到着した。
 ルシオラは美神にひきづられた横島に抱きついた。

「ふえ〜〜〜ん、ヨコシマ〜〜〜!!」

「うお!? どうしたんだルシオラ、何があった?」

「ヨコシマ〜〜」

 ルシオラはそういって泣くばかりでしばらく収拾がつかなかった。
 その間美神は美智恵にとりあえずお灸をすえながら西条に指示、ユニコーンの角を取った。




「……ルシオラ、大丈夫?」

 横島はその日泣いているルシオラを慰めながらおキヌと共に事務所を後にして自宅に戻った。
 なお出るとき美智恵の怒鳴り声が事務所内に響いていた。

「グス……うん」

 横島達はルシオラが自宅に帰って泣き止みはしたが沈んでいる為久々のインスタント料理が夕食となった。

「それにしても行き成り飛んで追いかけるなんて……もしかして馬に触りたかったとか?」

 横島はそう言うがルシオラは首を横に振るだけだった。
 横島は食べ終わった夕食を脇にどかして椅子ごとルシオラを抱きしめた。

「ヨコシマ……」

「ん?」

「今夜はダメ……」

「……いや、俺そんな目的でこうしてるんじゃないぞ?」

 ルシオラの言動に少し傷つきながらも横島はルシオラに言い返した。
 ルシオラはそれを聞くとうっすらと微笑み横島の胸に頭をこすりつけた。




(あとがき)
作者>さあやって……
ドゴ〜〜〜ン!!!
作者>……<ピクピク動いている
横島>うお! 大丈夫か?
ルシオラ>大丈夫でしょ? あんな事書いてたんだから!
横島>……『いや、それは関係あるのか?』
ルシオラ>何?
横島>イエナンデモゴザイマセン
ルシオラ>それより次は……
横島>うお! 銀ちゃん襲来!
ルシオラ>……襲来って
横島>ルシオラはわたさんぞう!!
ルシオラ>クス、大丈夫よ。私にはお前だけだから
作者>単純一途のマッドさ……
ドゴ〜〜〜ン!!!
作者>……<ピクピク動いている
横島>……いや、いい加減覚えるよ
ルシオラ>それではこれで、また次回〜〜
作者>……『平然と閉めやがった……ガク』



【管理人の感想】
 ユニコーンが好む清らかな乙女というのは、ぶっちゃけ『処女』のことです。
 美神とおキヌちゃんはともかく、この話のルシオラは既に卒業していますよね!?
 逃げられても仕方がないのでは……と説明すれば慰められたと思うんですけど、まあ最後は
 ラブラブで締めくくってるので、これはこれでよしとしましょう。(^^)


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