「それじゃ、ありがとうございました〜!!」

「おう」

「それではお気を付けて」

「はい」

 佑輔とレイに見送られ、横島とルシオラはその場を後にした。

「それじゃタダオ、いこ?」

「お、おう・・・」




 ゴーストスイーパー美神 GOS

作:ガイギス

第20話





 ここは国際空港、ここに一組の男女が降り立った。

「さ〜て、まったく久しぶりだね、日本も」

「そうだな」

 二人はそう言うと早足にその場を去った。
 場所は変って横島の自宅、一ヶ月ぶりに帰ってきた横島とルシオラは、まず部屋の掃除から始めた。

「う〜ん、流石に一ヶ月もたつと…」

「あちこち色々と大変ね」

 ルシオラはそう言うと玄関周りを、横島はベットルームを掃除していた。

「ええと、それで…」

「ふ、二人で行こうな、な!」

「う、うん…」

 二人はそう言うと恐る恐るとキッチンへ向かった………
 その数分後、二人は絶叫した事を追記しておく。




「ここ?」

「ま、前に来た時はこんな立派になったなんて聞いてないぞ?」

「それは私もよ」

 男女はそう言いながら真新しいマンションを見上げた。
 その少し前、横島宅では冷蔵庫の中がとっても口に出来ない状態になっているのを見て二人で絶叫した後、取り合えず二人で協力して中の物を取り出した。
 その時、二人の霊能力をほぼフルに使って取り出した為、二人でその場にへたり込んだ。
 こういう状態に比較的に慣れている横島は一足早く回復し、家にある文殊をありったけルシオラに渡し、自分は買出しに出かけた。
 その時二人は色々と言い合いになったが、結局横島が勝ち、その時二人は息を切らし体を赤くしていた。

「まったく、後で絶対仕返しするんだから!!」

 ルシオラははだけた服を直しながらそう一人ごちると、自分に幻惑をかけながら生ごみを処理していった。
 なお、その横には『消臭』の双曲文殊が幾つも輝いていた。
 ルシオラが生ごみの片づけを終えると玄関のインターホンが鳴った。

「あ、は〜い!」

 ルシオラはあたりを一度見渡した後、急いで玄関へ走っていった。

「どちら様ですか?」

 ルシオラが玄関を開けると、そこには長髪の女性とメガネをかけた男性がいた。

「あ、すみません、どうやら間違ったみたいですわ」

 女性はそういってお辞儀するとルシオラは顔を上げたまま、

「はあ…」

 と言って少し頭を下げてドアを閉めた。
 その数秒後、またインターホンがなった。

「すみません、ここって横島忠夫の住居ですよね?」

「はい………タダオのお知り合いの方ですか? あ、どうぞ立ち話もなんですのでお入りください」

 ルシオラはそう言うと二人を家の中に入れた。

「すみません、今あまり食べる物がなくて…お茶だけですがどうぞ」

「いえいえ、お構いなくお嬢さん」

「それよりも貴女は忠夫とどの様なご関係で?」

「それは…」

「ただいま〜、あれ? 誰か来てるのか?」

「あ、お帰りなさ〜い」

 ルシオラは一度男女に頭を下げた後、横島を出迎えた。

「誰が来てるんだ?」

「あ、そう言えば名前を聞いてなかったわ」

 横島とルシオラはそういって談笑しながら男女の待つリビングまで来た。
 そしてその二人を見て横島は固まった。

「お、お袋!?………それとついでに親父」




 尋ねて来た二人が横島の両親と知り、ルシオラは思いっきり慌てて自分の自己紹介をおこない、そのままの勢いで自分が横島と恋人以上の関係である事を暴露した。
 …いや、暴露したのはどちらかと言えばほぼ横島なのだが。
 それに対し横島の両親、横島百合子、大樹は一様に驚いた顔をした後、

「ほ、本当に?」

 と聞き返しルシオラは恥ずかしそうに顔を赤くしながら頷いた。

「ほ、ほんとのホントに?」

 ルシオラは2回頷いた。

「ほんとのホントの本当に?」

 ルシオラはさらに3回頷いた。

「ホントのほんとの本当のホンとに?」

 ルシオラは4回頷いた。

「ホントのほ…」

「いい加減にしなさい」

 大樹のしつこい位の聞き返しに百合子は自らの拳で黙らせた。

「そんなに俺がその、女の子とえっと……あの………」

 横島は最初こそ勢い良く立ち上がったが、結局尻つぼみとなってその場に座った。
 ルシオラはその横でこれ以上ないくらいに顔を赤くして項垂れていた。

「まったく、何でこの子はこうも押しが弱いのかしら? 父さんは昔例えこんな状況でもきちっと最後まで言ってくれたわよ?」

「…え?」

「………言ってくれたわよね?」

 百合子は迫力を持って大樹に詰め寄ると大樹はこくこくと首を縦に振った。

「それにしてもこんなマンションに移ったなんて聞いてないわよ?」

「オーナーが変わったからね」

「あ、でもお金は前の時と同じなんです」

「…まあ、それならいいけど」

「それよりどうしたんだよ、お袋? 親父も…今日はいきなり」

「あんたが連絡もないまま半月学校に着てないって担任の先生から電話があったのよ」

「え?…あ、そういえばルシオラ、美神さんに連絡は?」

「ごめんなさい、あの時急いでたから………」

 ルシオラがそう言うと横島はしばらく頭を抱え、

「ごめんなさいごめんなさい美神さんこれには深い訳が…ああ、そのビームサーベルもどきはやめ…そ、そんな鞭状にしないで!! ああ、おキヌちゃんもそんなさめた目でこっちを見ないで、その包丁はしまって………」

 とうとぶつぶつ呟いていた。

「忠夫?大丈夫」

「アハハハハ………かなりまずいかもしれません」

 それにつられるかのようにルシオラは乾いた笑をした後考えるように下を向いた。
 どうやったら考えうる修羅場を二人で潜り抜けるか考えているらしい。
 百合子と大樹はそんな二人を前に顔を見合わせてしまった。




 結局その日はそのまま横島夫婦は帰る事になったが、その時ルシオラの住んでいる所を百合子は横島に聞くと、いまだ思考の海に囚われたままの横島があっさり同居している事を話してしまった。

「私は人とは違うので法律とかは適応されませんし…家族にも了承を得ています」

 これはその時のルシオラのフォローである。
 確かに『家族』の承認は得ている…ほぼなし崩しではあるが。

「フッフッフ…息子の物は親の物…」

「何か言ったかい?」

「イエ! ナンデモゴザイマセン」

 そのフォローを聞いての両親の会話である…ちなみに大樹は百合子のヘッドロックを食らっている。
 百合子はそのまま横島にいくつか話をすると大樹を引きずってその場を退場した。

「………ふう」

「大丈夫か?」

 横島夫婦が退場した後ルシオラがため息を付いたので横島は心配そうに訊いた。

「ええ…なんとか」

「今日はどうする?俺はカップラーメンでもいいけど…」

「ううん、ちゅんとタダオに料理を作りたい」

「ル、ルシオラ〜♪」

 ルシオラが少しはにかみながらそう言うと横島は耐えられなくなったのかルシオラに飛びかかった。
 …しかしルシオラにあっさりかわされ、床にキスする事になったのだが。

「ううう…」

「まったく…そ、それは夜でね?」

 ルシオラは赤くなってそう答えるとすたすたと台所へと逃げるように向かった。
 ただそれに対し横島に返事はなく、顔をこれまた赤くなって萌えていた…ただし床にひれ伏したままだったが………つくづく器用な人物である。




 翌日二人は死地に赴く兵士のような顔で事務所に訪れた。

「こ、こんにちわ〜」

「あら横島クン、ルシオラも…」

「横島さん大丈夫でした?」

「え?…ああ、もう今はなんともないよ…けど」

「なんで? えと、連絡はしてませんでしたよね?」

 ルシオラがこわごわ訊くと美神は、

「それなら連絡は来たわよ……メドーサが」

 ルシオラはそれを聞いてほっと胸を撫で下ろしたが横島はピキッとその場に固まった。
 メドーサ…その幾度も対峙した魔族と美神はけっして相性が良い訳ではないからである。

「そ、それ…」

「先生〜〜〜!!!」

 横島が何か言いかけた時、シロが横島を轢いた…もとい抱きついて顔を嘗め回した。
 もしルシオラが支えなければそのまま押し倒されていただろう。

「シロ!行き成り抱きついて顔をなめるな!!」

「ク〜ン…」

「まったく、学習しないわね、バカ犬」

「犬じゃないもん!!」

 シロがタマモに食って掛かっている間にルシオラは横島の顔をふき取っていた。
 その姿はこの事務所ではもはや恒例となり、この程度では美神も事を荒立てない様になった。

「横島さん、けど本当に大丈夫でしたか? 美神さんの話だとかなり危なかったそうですが…」

「大丈夫だよおキヌちゃん、といっても回復に一ヶ月掛かっちまったけどね」

 横島はそう言うとわっはっはと笑った。
 なおその日は簡単な除霊一件だけですぐ解散となった。




「おい〜す、うわ!」

「…横島君!? いったいどうしたの?」

「そうですよ、美神さんに聞いてもどこ行ってたか解らないって言うし…」

「お二人のことすっごく心配したんですジャー」

 横島とルシオラが翌日学校へ向かうと、先に来ていたビートたちに囲まれた。
 なおルシオラは最初の挨拶をする間もなく愛子以外の女子生徒達に囲まれてしまったが………。

「まあちょっと除霊で失敗してな、回復するまでに1ヶ月も掛かっちまった」

「横島さんが!?」

「1ヶ月も、ですかいのう!?」

「な、なんだよ…」

「だってほら、横島君ってほんとに人間かって言うほどの物凄い回復力の持ち主だし………」

 愛子がそう言うと残る二人もうんうんと頷いた。

「阿呆! おのれらはいったいどういう目で俺を見てたんだ!?」

「変体」

「スケベ」

「不死身」

「「「最強の変質者」」」

「ぐおおお!!」

 3人の息のあった連携が言葉と言う武器になって横島に飛び込んできた。
 なお変体は文字の如く『本来ありえない体』の事を指す。
 …そんなこんなで今日も穏やかな時間が流れた。

「全然穏やかじゃな〜い!!」

 いや、ナレーションに突っ込まれても…




(あとがき)
作者>やって…ふご!
ルシオラ>お〜そ〜い〜
横島>いったいどうしたんだ?
作者>いえ、あのオリジナルってこう…うえ!
ルシオラ>次はもっと早く…ね?
作者>ううう…がんばります


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